今、やれることをやる 二【呪術廻戦】

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だって。悪意があろうと無かろうとも。例え背後から迫られたとしたって、難なく遣り過ごせる自信があるからさ。にゃはっ！

でもねー……、猫ん時はさー……。安全に安全を重ねておかないとね。いざという時……は無い方が良いんだけど、瞬発力があっても確実に避けられるという保証はない。だから安全第一なんだ！

……え？さっき自分から真っ逆さまに落ちるかもしれない危険を犯した？あれは、自分の失敗から訪れるかもしれない未来だから別物なのだよ。

変な屁理屈を並べながら横断歩道を渡っていると、「にゃんこ！」って舌ったらずで元気な声が聞こえた。

顔を上げて見れば、二、三歳くらいの小さな子供がお母さんに手を引かれて正面から歩いて来ている。

私を触りたいということが、その子の表情や、手を伸ばす行動からひしひしと伝わって来るんだけど。お母さんはスマホで電話中。私の姿は愚か、お子さんの声にも気付いてないようだ。

その子は私を撫でようと小さな手を伸ばし、それと同時に膝を曲げようとしたのを見て

『(待て待て待て待て！？横断歩道のど真ん中でしゃがもうとするな！？)』

という思いから身体の向きを反転。その子に触られない距離を保ちながら、この親子が向かっていた方、所謂先程まで私がいた場所へとＵターン。

安全な場所で立ち止まれば、私の正面でしゃがみ込んだ子供にぐりんぐりんと撫で回される。頭取れそう……。手加減求む……。と願いながら一身に受ける。

そこで、やっとお子さんの行動に気付いたらしいお母さんが「あら。仔猫？」と軽い調子な言葉を漏らした。

『みぅ……。みゃ！みゃーっ！(ちょっと……。電話に夢中になり過ぎ！ちゃんと自分の子供は見てなさいっ！)』

感情を現すように、尻尾の先が地面を数回叩いているのが視界に入ったわ。

伝わってなかったとしても言うことは言ったので、今度こそ私は横断歩道を渡る。

散歩の続き〜♪って内心で浮かべながら、リズムを取るように尻尾を揺らす。

ふと振り返り、今日辿った道が頭の中で反芻される。アスファルト上に小さな足で、見えない足跡を付けて来たことに

『みゃあ♪』

って一鳴き。自分でも機嫌の良い声だと思う。正面へと顔を向ければ、もっといっぱい付けてやるぜ！という大きな気持ちで、ひゅーーんっ！！と街中を駆け回った。

見えない足跡は、アスファルトだけに付いてるわけじゃないけどな。にゃはは！


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