今、やれることをやる 二【呪術廻戦】

63, ページ22

恵くんと野薔薇ちゃんがヤル気満々で、私の出る幕なく三級と四級数体を難なく倒し終えてしまった。出番無しです。私は空気です。

最後に残るのは二級呪霊のみ。解体工事の途中で止まっている横穴から入った私達。呪霊もその近辺に固まっているかと思っていたから、横穴側から入ったのに、まさかの真反対側一番奥にいた。

なんだよ。久しぶりにたくさんの人と会って、はしゃいじゃったから照れてんの？最初から引きこもってろ！

……ん？どっちにしたって解体工事が進んでいけば、住み処を奪われる呪霊からしたら暴れることになるか？この呪霊事故ってほぼ起こり得ること確定じゃん。早いか遅いかの差ってやつだ。

真剣さを感じられない自身の思考。寝不足だとしても気が緩み過ぎているってことがよく分かる。漏れそうになった欠伸を噛み殺して、両頬をパシッ！と挟むように叩けば、私の前を歩いていた二人が同時に振り向いた。

『あ。ごめーん。驚かしてー。気合い入れてたー』

って笑っといた。けど眉を寄せながら困惑の色を浮かべる二人の表情。そんな顔しないでよー……と言いたいところだけど、私がボーッとしているのは目に見えて分かるだろうから言えない。

二人の後ろに付いて歩いているから、のほほんとしているのかもしれないなと思い、左手で鞘を握って先頭に出る。

二人から制止を掛けられたけど、私は前に出なければ何も出来ない。先陣を切る側。特攻隊よ。ってことで、視界に入った二級呪霊へと駆け出す。

刃を引き抜き呪霊の首目掛けて

『雲の呼吸──壱ノ型すじ』

腕を横へと薙いでいる途中、ミシッ……と嫌な音が握った柄から聞こえた。

呪霊の首は問題なく捉えていたが、振り抜いたら最後、刀が折れる未来しか思い浮かばず腕を止める。

すぐ正面にいることから、呪霊から向かってくる攻撃は目と鼻の先だ。それを飛び退くことで回避。呪霊の攻撃が軽く頬を掠めたが問題はない。

それよりも刀の方が気になる。宙を斬るように一回横へと振るってみたが、先ほどとは違って嫌な音はしない。

気のせい？と首を傾げていれば「どうした？」って恵くんに声を掛けられた。

『何でもない！』
「不調なら片付けるわよ？」
『私にも仕事をさせてください！！』

二人がこいつまで片付けてしまったら、私がここに来た意味がマジでない。給料泥棒になってしまう。それはちょっと……って感じだ。


.

64,→←62,

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す