貴方のために出来ること part.17【名探偵コナン】

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──ふらふら〜っと宛所もなく動き回る二匹。気の向くままに歩き、気になるものを追い掛け、休憩という名の戯れ合いをして……などなど。動き回っていれば自然と訪れるのは


「にゃ……(おなかすいた……)」


「にゃぁ……(ぺこぺこぉ……)」


空腹だ。早朝鍛練へと出る前、ミケブチが騒ぎ出す前に梅原が事前に用意していた朝食は食べた。だがそれから結構な時間が経っている。


現在の時刻は昼の四十分前くらい。朝食が早い分、昼まで腹が持たず、仕事中の梅原へ纏わり付くなんてことは日常茶飯事の光景。ただし普段ならの話だ。


今この場に、いつもご飯をくれる梅原はいない。ご飯を買ってくれるAもいない。さて……、ミケブチの二匹はどうするのだろうか？


空腹で道路の隅に踞るミケブチ。お腹空いた……ご飯食べたい……を繰り返している。そんなミケブチの前を通る通行人は、物欲しげに鳴く二匹の姿をチラ見するが素通り。


残念なことに世の中そんなに甘くない。お前達は運が良かったんだぞ。不良らしからぬ不良の梅原に見つけて貰えたのは。


梅原に見つけて貰ったばかりの頃、ミケもブチも子猫と呼べる程だった。しかも食べ物などなかったから体は細く、全身の毛も汚れていた。だが今では立派な成猫。毛並みも頗(すこぶ)る良い。相変わらず首輪はしていないが、家猫と思われても致し方なし。


というかお前達の場合、鳴いて食べ物を乞うよりも、芸の一つでも披露した方が食べ物にありつけるような気がする。


……いや、そもそも家出なんか止めて帰った方が食べ物にありつけるな。意地張ってないで、帰れ帰れ。


という思いが伝ったのか、立ち上がり歩き出した二匹。……残念なことに向かう先は家と真逆だ。意地っ張り共め。


何をするのか路地へと入っていったミケブチは、物陰に隠れるように身を縮めて動かなくなった。


待機すること約十分。建物の裏口だろう扉から出てきた大きなビニール袋を持った男。その男は入口付近に置かれている蓋の付いたゴミ箱へと、手に持っている袋を詰め込み建物へと戻っていった。


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