貴方のために出来ること part.17【名探偵コナン】

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次に出てきたのは時代劇とかに使用されていそうなちょんまげのカツラ。それを手に取り、そのままベランダに出て放り捨てる。


『あーっ！不法投棄ー！！』


「うっせぇ！宴会グッズなんて出してないで真面目にやれ！！」


拗ねていると訴えるように口を尖らせている神谷。


『……取引中ヘルメットしてればぁ〜』


「適当だな、おい……」


『夜の取引が主だし、顔さえ見えなければいんだよ！』


─
──
───


てな感じで投げ遣りになりやがった。


神谷は我が儘、身勝手、気紛れ、自由奔放を素で体現してやがる。どう考えても


《さっきから何ぶつぶつ言ってんの？集中しろ》


イヤホン越しに聞こえてきた神谷の声。さっきまでのことを思い出していた俺は「うっせぇ。猫野郎」と思ったことを苛立ち返す。


《あん？誰に向かって言ってんだ！私は女だぞ！》


「そこかよ。猫ってところの否定は無しか」


《何、今更なことを。猫っぽいなんて梅ちゃんも散々言ってんじゃん》


「ソッスネー」


《なんだ！その適当な感じ！》


お前も適当に返事すんだろうが。自分を棚に上げて言うんじゃねぇ。


こんなことやってる間にも、刻一刻と迫ってくる取引時間。腕時計へと視線を向けてみれば、あと十五分程だった。


「……ふぅ」


ただ情報(モノ)を置いてくるだけの時とは違って相手との接触があるからか、いくらか緊張しているみてぇだ。喉は異様に乾くし、心臓の音も速ぇ気ぃする。


額から流れる汗を腕で拭えば


《あんま力入れて触らないでよ。お化粧禿げちゃうから》


「あ、あぁ」


ヘルメット被れって投げ遣りの神谷だったが、なんだかんだと考えてはいたらしい。顔バレ防止っつって人の顔を弄くってきた。鏡を差し出されて覗いて見た瞬間、誰だこれ！？って声を上げたわ。


神谷の持つ技術には驚かされてきたが、まだ驚くことがあるとは……。あいつの可笑しさには底がねぇ。なんだ、あのチビ……。


俺だと特定されねぇようにって、弄られた顔は全くの別人。生粋の日本人顔だった俺の顔に、良く分かんねぇテープ貼ったり、鼻周りや目周りを重点的に化粧を施されたりした結果、外国人風……つーか諸外人の顔になってた。


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