貴方のために出来ること part.17【名探偵コナン】

702, ページ13

『……さっきから思ってたけど。ミケ、全身砂埃まみれじゃん』


Aの言葉に、二匹とも同時に顔を上げた。返事として「にゃあ(ころがった)」と一鳴きしたミケに、Aは呆れ顔を向ける。


『楽しく遊ぶのも良いけどさ……。これはお風呂直行だな』


「にゃ！？(おふろ！？)」


風呂という単語に驚愕したミケの尾が膨らむ。それに「にゃー(がんばー)」と応援の言葉を掛けたブチだが


『ブチ。他人事みたいに言ってるけど、お前めっちゃ汚いぞ。しかも臭ぇ。ミケ以上にお前は徹底的隅々まで洗うからな』


「に゛ゃ゛！？(え゛！？)」


目と口を大きく開いて固まることに。それを見たAは『あ、面白い顔』と軽い。二匹は合図は愚か目配せすらもしていないのだが、示し合わせたように声を上げた。


「「にゃうにゃうにゃうにゃうにゃうにゃう！！(やだやだやだやだやだやだ！！)」」


『おー。息ぴったりー』


「にゃぁ……(おふろぉ……)」


「にゃうぅ……(やだぁ……)」


甘えるように鳴きながら訴えれば、ニコッと満面な笑みを二匹へ向けたA。その表情にミケブチは、お風呂を免れたと思った。……のだが


『だめ』


という語尾にハートか音符のマークでも付いていそうな否定の言葉を聞き


「「にゃうぅぅぅぅっ……(やだぁぁぁぁっ……)」」


とまたもや声を揃えたのだった。





((おっつー))
((おぉ。……なんで拗ねてんだ？こいつら))
((お風呂入りたくないって))
((あぁ。それでか))
((にゃう！))
((にゃぅぅ……))
((風呂に入らねぇと飯抜きだからな))
((((に゛ゃ゛！？))))


お風呂に入ってご飯を食べるか
お風呂に入らずご飯を抜くか


という二匹に取って究極の二択とも言える選択を迫られ、悩みに悩んだ結果ご飯を取った二匹。お風呂では素晴らしい程の奮闘を見せたが、Aに勝てるはずもなく、虚しいほどに全身くまなく洗われた。


食事を済ませればミケブチは速攻就寝。大きな音を立てても、触ろうと撫でようと移動させようとも、まっっったく！起きない。死んでいるのではないか？というくらいに。


安心してくれ。呼吸で体が上下に動いているので生きている。ただ爆睡しているだけ。一日の間にいろいろあったから疲れたようだ。


こうして数時間というミケブチの冒険(ぷち家出)は幕を閉じたのだった＿＿＿＿。


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