664, ページ21
ほんの瞬刻、Aと熊の視線が交わる。先に視線を背けたのは熊だ。動き出しで僅かに頭を下げたように見える行動をし、来た道へと体の向きを変えた熊は、そのまま山奥へと帰っていった。
熊の姿が見えなくなったことで、安堵からか地面へ吸い込まれるようにへたり込んだ不良たち。けれどAたちへと顔を向けたら
「う、うわぁぁあ！」
「っおい!?」
「ま、待てよ……！」
一人また一人と逃げるように走っていった。そうしてその場に残ったのはAと梅原。そしてミケブチだけ。生き物の気配など全く無い静かな空間になる。すると
「っは……！はぁ……はぁ……！」
荒い息を吐きながら、ドッと滝のような汗を流す梅原。袖口で口元を拭って汗を拭き取る。その様子を見たAは、ハンカチを取り出し梅原へと差し出しながら声を掛けた。
『大丈夫？』
目の前に差し出されたハンカチだったが、梅原はパシッ！と彼女の手を払い除け、ハンカチがヒラリと宙を舞って地面に落ちる。
「っ！わ、……悪い……」
自分がした行動に、バツが悪そうな表情になった梅原。払われた手を見るAは何も言わない。それもそのはず。梅原がAへと向けた表情は恐怖が滲んでいたから。足元にいるミケブチも変わらず身を寄せ合い震えていた。
(恐がらせた？……そっか……恐いよね……)
Aが今まで、殺気を放つなんてことをしたのは二回だけ。一度目はジン率いる黒の組織構成員約100人との交戦。と言っても相手を怯ませて彼女は撤退しただけだったが。そして二度目は、赤井秀一が亡くなったという小さな探偵と赤井本人の戦略に騙されたことから、ジンへと向けた殺意だった。
梅原は元不良で、Aと共に事件に巻き込まれ解決したりしてきたと言えども、今はまだ一般人側。裏社会にも深く関わっていないし、梅原本人が殺意に晒されたこともない。戯れ合う程度の威圧を向けることはあっても、Aは梅原に殺気を向けるようなことはしなかったのだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1517人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪丗(プロフ) - kangarooさん» そうです(^^)その理解で大丈夫です！ (6月1日 0時) (
レス) id: 3aa07c1458 (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 雪丗さん» お返事ありがとうございます！！夢主ちゃんが目をつけた黒いバイクはSegreto用に梅ちゃんが乗っている、という理解で大丈夫でしょうか .. ？何度もスミマセン（汗） (5月31日 21時) (レス) @page44 id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - kangarooさん» ご質問頂いた梅ちゃんのバイクの件ですが、崖から落ちて爆発したことで廃車→片山(モブ)さんの厚意で新車をゲットしました！サイドカーに関しては、神谷が後払いにて購入→ミケブチに奪取される。という流れになります。また不明点等ありましたら御連絡ください(^^) (5月31日 17時) (レス) id: 3aa07c1458 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - kangarooさん» お返事が遅くなり申し訳ありません。今作品をお読み頂きありがとうございます。梅ちゃんファンが増えて口角が緩んでます。によによです(笑) (5月31日 17時) (レス) id: 3aa07c1458 (このIDを非表示/違反報告)
kangaroo(プロフ) - 嬉しいです！ちなみに私も梅ちゃん大好きです。数少ないツッコミ役ですね。お疲れさまです、合掌。 (5月22日 21時) (レス) id: a52eba175e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪丗
| 作成日時：2019年8月22日 12時
