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『あ。横に振るという選択肢がありました』
「横だけでなく、斜め上や斜め下からなどの剣撃。打突、刺突といった突き出す手段もある」
言葉と共に、ゼオンは剣に見立てた木の枝を振って見本を見せてくれる。もっと早くに見せて欲しかった……と言うのが本音だけれど。
その動きを真似て剣を振るってみた。斜め上から振り下ろし、斜め下から振り上げる。そして横一線に薙ぐように。
「……剣先が下がった。もう一度振ってみろ」
『はい』
横一線に振るうが、何度やっても剣先が上下に揺れてしまう。筋力は付いてきているけれど、刀身が重いのが原因だそうで……。
「……やはりお前用の剣を用意するか」
『え……？いりませ、ありがとうございます』
要らないとお断りを入れようとしたら睨まれてしまったので、感謝の言葉に切り換えることに。強引過ぎると思います……。
気持ちを切り換え、次にやるのは四大元素の鍛練。体内魔力のコントロールを覚えて以来、起きている限りお役目をしていない限り、意識し続けた結果──
水属性では、十個の大小様々な水玉が私の回りで宙に浮いている。全ての水玉を半分に分離させ、他の物と合体して元の数に戻す。増やしたり減らしたりを繰り返しながら、宙に浮遊させ続ける。そして十個の水玉を集めて、一つの大きな水塊に。そのまま空高くまで上げ、パチン！と指を一つ鳴らせば、雨粒のように小さい水滴となって飛散した。
『あ、虹が……』
「今の水魔法で、太陽光が屈折や反射をしたことから起きたのだろう」
『ふふふっ。幸運ですね』
「フッ。そうだな」
風属性では、宙に浮かす物質の重さや数を少しずつ増やした。今では自分の体を、地上から五十センチメートルほど浮かすことに成功。ふよふよと里内を空中浮遊していたが、少しでも体を支える箇所がずれてしまうと
『きゃっ！……痛っ！？』
「体幹がずれたからといって、魔力量を増やすのは止めろ。風で肌を切りつけ、無用な怪我をするだけだ」
『……はい、気を付けます』
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作者名：雪丗
| 作成日時：2019年7月11日 0時
