継いで②【オリジナル】 (ページ15)

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スラッ……と刀身を鞘から引き抜いたゼオンは、縦に立てるように持つ。剣先からゆっくりと顔を動かし眺めたかと思えば、縦へ横へと一回ずつ剣を振った。それを見て

『ゼオン！室内で振るうなんて危ないですよ！』

私の言葉を見事に無視して、今度は正面に腕を伸ばし真っ直ぐ刃先を向けた。数秒間ピタリと動きを止めていたけれど気が済んだのか、腕を下ろして左手に刀身を軽く当てる。

「ふむ。流石、ドワーフ族。見事なものだな。切れ味も申し分ない」
「あたり前だ」

左の指先で刃をなぞったゼオンは、指に小さな傷を作り血が流れた。でも直ぐに光が灯り、消えてしまった傷。

「とても軽く片腕で振るのも楽だ。これならAも振り回せる」
『……え？』

ゼオンの言い放った言葉の意味を理解するのに時間が掛かる。……というより、理解したくないというのが心情なのかもしれない。けれど

「お前の細腕で俺の剣は、いつまで経っても扱えない。先日用意すると言っただろう。忘れたのか？」
『お、覚えてますけれど……』
「今日からこれを使う。いいな？」

と更に追い討ちを掛けて来た。要らないって言葉を内心で繰り返していたけど、口から出てくることもない。聞いてくれるとは思えないから。

ガランが最近作っていた剣は、私用の物だった。依頼人はゼオン。「剣を用意する」と言っていたその日にはガランへ依頼をしていたそうで。

「ミスリル鉱なんて持ってくるとは思わんかったぞ……」
『ミスリル鉱？』

聞いたことのない鉱石の名前が出て来て、私は首を傾げながら疑問を口にする。そんな私に、ガランがミスリル鉱について教えてくれた。

ミスリル鉱とは。銀に似た輝きを持つ鉱石。幻の鉱石とも呼ばれていて希少価値が高い。幻と呼ばれほど採掘量が少なく、さらには加工がとても難しい。ドワーフ族の技術でしか加工することが出来ない鉱石だそうだ。