貴方のために出来ること 番外編part.3【名探偵コナン】

防衛は大切……でも、ほどほどで。 ページ40

動きたいのを我慢して待つこと数十分。
そろそろ広げたままの両腕が疲れてきた……。下ろしたい……。なんて考えていたら、カチャ……って扉の開く音が聞こえた。

秀一がお風呂を出たようで、ガサガサッ……とまたもや衣擦れの音が聞こえる。

それから五分くらい経ったかな？というところで、廊下に秀一の気配が現れた。「ふぅ……」と息を吐き出した秀一は私へ近付いてくる。

帰ってきた時と同様に、私の横をすり抜けて正面へ。そして

「よし。良いぞA」

って両手を広げて待ち構えられたので、胸に飛び込む。『うー……』って呻けば、頭や背中を撫でられた。甘えるように、ぐりぐりと秀一の胸に額を擦れつけると、めっちゃ石鹸の匂いする。当たり前か。お風呂上がりなんだから。

気が済んだら顔を上げ、互いの視線が合えば笑顔で「ただいま」と今更ながらに挨拶された。

だから『お帰りしてから30分くらい経ってる……』って頬を膨らましながら言えば

「最近、イヤなものが蔓延してるからな」

って返事が。なんか会話がずれてないですかね？

確かに世界各地で新型ウイルスが蔓延している。脅威的な広がりを見せ、世界で何十万という人が感染し、死者も増え続けている始末だ。しかも国によっては医療崩壊してしまっているところまである。でも

『待てが長い理由にならないぃ……』
「何を言ってる。俺の体の何処にウイルスが付着しているか分からないんだぞ。帰宅後即飛び付いてくるAの肌に付くかもしれん」

文句を言ったら真剣な表情で返された。外から持ち込んだ危険を排除。それから行動を起こす。ってことらしい。

『……徹底してるね』
「感染でもしたら大変だからな。お前が辛い思いをするのは見たくない」

その言葉にきゅぅん！って胸が鳴る。嬉しくて弛んだ口元を隠すように、秀一の背中へ回した腕にぎゅうっ！と力を込め、眼前にある逞しい胸板へ顔を隠した。

私も苦しんでる秀一を見たくない。だから絶対にウイルスを我が家に持ち込まないぞ！って内心誓っていたら


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