貴方のために出来ること 番外編part.3【名探偵コナン】

せ ページ18

諸伏さんへは足に体を擦り付ける。伊達さんの元へ行けば、大きな手で頭を撫でられたので、その手に頭を擦り付ける。松田さんの元へ行けば、胡座をかいてる足の上に乗っかりお腹へ体を擦り付けて。萩原さんの元へ行こうとすれば、……両手を広げて待ち構えてた。まあいいかと近付けば、ひょいっと持ち上げられて頬擦りされる。

「可愛い〜！A、可愛いよ〜!!」
『み"ゃ"ぁ"あ"……(逆になってるぅぅ……)』

お返しするはずだったのに、萩原さんからは多くの愛情を頂きました。

萩原さんの愛情を一身に受けていれば、気配を感じて扉へと顔を向ける。私の行動に続くように扉へ顔を向けた四人。ドアノブが回り扉が開いた。姿を見せたのは

「ノックしろ。てめぇ……」
「手が塞がってた」
「片手空いてんだろ！」
「いや。さっきまで両手を使ってたんだ」

何かよく分からない主張をするバーボン。確かに何か手に持ってる物があるけど小さい器だ。片手でも持てるくらいの。

「諸伏は返事する前に入ってくるわ。降谷に至ってはノックすらしねぇ……何なんだお前ら」

松田さんのぼやきを聞いて、萩原さんの手からするっと抜け出し慰めにいく。頭を擦り付けながら

『みぅみぅ(バーボンは将来不法侵入常習犯になるから今のうちに躾ておいてください)』

慰めて……ないな。私の要望の方が強かった。松田さんの近くでころんと横になれば、お腹を撫でられる。野生味がない。私、野生じゃないわ。

「ところで降谷、何持ってんの？」
「あぁ。Aのご飯だ」
『みゃ！(ご飯！)』

シュバッ！と体をお越し、バーボンを見上げる。周りから食い意地がすごいって聞こえたけど、ご飯に勝るものなしだ！

私の正面に器を置いてくれたバーボン。中を覗いてみると猫まんまだった。クンッと嗅いでみると鰹節の匂い。ぺろっと舐めてみれば塩分は感じない。素材その物の味のみ。小さく刻まれたササミも浮かべられていて、舐めるように食べ続ける。

食べることに夢中になっている私の上では、五人が会話をしていた。

「遅いと思ってたら、A用のご飯用意してたのか」
「風呂に入れば汗かくだろ。汁物なら水分補給になるし、時間的にも丁度良いかと思ってさ」
「降谷がおかんと化してる」
「前からだろ」
「A。礼は？」
『みゃ(ごち)』
「どういたしまして」

一回目の食い逃げ事件から、定期的にバーボンによる餌付けが実施されている。何度食い逃げしたかというと前科十二犯。今日逃げれば十三犯になるのだ。


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