貴方のために出来ること 番外編part.3【名探偵コナン】

わ ページ13

木の下に隠れているが、雨が強すぎて雨宿りにならないのよ。屋根のあるところまでは大体200mくらい。人間の時はあっという間に着くけど、この姿で走るとなると、途中で休憩が一回は必要だ。しかも大雨の中で。それならここにいた方がいい気がする。

こんなことなら自分の感覚を信じれば良かった……。雨が降ってきそうだなーって思ったとき、帰れば良かった……。

と後悔しながら雨に打たれる。大雨の中帰ることも出来なくはないけど、やりたいかと聞かれるとやりたくはない。でもこのままの勢いで雨が降り続ければ、地面に足がつかなくなる可能性がある。どんな苦行だ。

空を見上げてみるが雨が止みそうな気配は全くなく、『みぅぅ……(どうしよう……)』と途方に暮れる。見上げていた顔を下げたところで、目の前の生垣がタイミングよく揺れた。かと思えば、ひょっこり顔を覗かせたのは

「やっぱりAだった」

バーボンだ。そいつの出現に吃驚して固まる私。そんな私の名前を呼びながら片手を伸ばして来たが、すぐに引っ込めたバーボン。眉を下げながら「少しだけ待っててくれ」と、差していたビニール傘を開いたまま私の側に置いた。私が濡れないようにというのはわかるが

『みゃあ！(濡れるぞ！)』
「すぐ戻ってくる」

バーボンに私の言葉は伝わることなく、学生寮の方へ雨に濡れながら走っていった。それを追い掛けるため、傘の柄を咥えて移動しようとしたけど

『んみー！(生垣邪魔ー！)』

目の前には、傘を咥えたままでは移動することなんて出来ない壁がある。しかも私のいる場所は樹木を覆うように、綺麗に三面を生垣、後ろには外壁と囲われているのだ。ある意味牢獄。

傘を畳めば生垣の下を潜り抜けることは可能だが、そのためには一度人に戻らなければならない。私は今真っ裸だからね。ここ警察学校だからね。見られたら速攻お縄行きだ。却下！

『みゃぁ……(傘を畳めば良いんだから……)』

咥えていた柄を離して、下ろくろを外そうと傘の中心へ移動。中棒で体を支えるように、後ろ足で立ち上がる。下ろくろを外すため片手で押さえつけるが

『み"ゃぁ……！(硬い……！)』

力を込めるが下ろくろは動かない。叩いてみても、噛み付いてみても動かん。腹が立った私は

『み"ゃ！み"ゃ"ー!!(お前も持ち主と一緒で強情か！こらぁぁあ!!)』

尻尾を叩きつけてやった。雨に濡れた尻尾はいつもより重く、腹が立っているので力も入っている。だからか、上手い具合に下ろくろが押し込まれて僅かに傘が閉じた。それを見れば


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