貴方のために出来ること〜もう一つの未来へ〜 part.7【名探偵コナン】

280, ページ8

みんなで手分けしながら片付ける。工藤邸は大きなお屋敷だ。一人二部屋くらいでやらないと終わらない。家主である工藤夫妻の寝室に、探偵君の寝室、秀一の借り部屋と空室の客間。共同スペースのリビングや、キッチンと言った水回り系統。階段廊下。ただそれを終えても一番の難敵である


『ここは中々片付かないんですよね……』


「手が空いたときは片付けるようにしてるのですが……」


「これだけの蔵書があれば、二人では終わらないでしょうね……」


書斎だ。ここは全員でやりましょ。ってことで、昼食後に動き出すことに。


片付けの合間に私が食事の用意をする。そこに現れたのは毎度お馴染みバーボンで。


『なにか？』


「お手伝いします」


『いりません。掃除を優先してください』


「僕の担当は終わりました」


『雑に「するわけないじゃないですか」そうですか。なら休憩しててください』


「では。お言葉に甘えて」


と対面式キッチンの正面に座り、笑顔を張り付けて人を見る。


『視線が邪魔です。あっち行けです』


「僕は今休憩中です」


『人を眺めながら休憩するな』


「Aさん。言葉遣いが良くないですよ」


『原因は貴方ですが？(ﾆｺ』


「またまた(ﾆｺ」


はぁ……とため息一つ吐いて、放っておくことにする。相手にする方が疲れるからな。


手元に視線を戻して料理を再開。何を作るかと言うと親子丼だ。理由は簡単。私が食べたい。それに簡単だし、腹持ちもするからね。


親子丼に添えつけるのは、揚げの味噌汁とキュウリの浅漬け。


てきぱきと準備をしながらも、変わらず感じる視線。全て無視。早く諦めろ。このやろ！


「Aさん」


『何ですか？』


「好きですよ」


『そりゃどうも』


「……もう少し何か無いんですか？」


バーボンに顔を向けることなく会話を続けていれば、私の回答に拗ねたようで、言い方に少し不貞腐れてるのがわかる。けどそんなもんは気にしない。


『何かとは？』


「返しが淡々過ぎます。少しくらい反応してくれても良いじゃないですか……」


『反応？……顔が赤くなるとか、過剰反応したりとか、挙動不審になるとか？』


「そうです」


拗ねた言い方のバーボンへ顔を向ける。そして


『好きですよ』


「……え？」


バーボンを真っ直ぐ見て告白。急な私の言葉にバーボンは目を見開く。言葉を理解するのが遅かったらしく、少しの間が空いたあと赤くなった。


.

281,→←279,

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す