貴方のために出来ること〜もう一つの未来へ〜 part.7【名探偵コナン】

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会場入り口から一番遠い展示部屋へと到着すれば、血濡れた男性の姿が視界に入る。その胸にはこの展示会の目玉、唯一の真剣である織田信長の愛刀“宗三左文字”だった。


重要文化財に指定されているこの刀が、ここにある理由は持ち主が一時的に貸してくれてるから。そんなものが凶器にされるって……なんて身勝手な。


この部屋の入り口近くの壁に背を預けながら、探偵君やバーボンがあれこれと調べているのを眺める。


バーボンは警察への連絡をイベント係員に頼み、現場保護や客が帰らないようにと指示出ししていて。


探偵君は遺体に近付き、些細なことも見逃さないって勢いで、あれこれ見てる。


……荒らしてるのあの子じゃね？って思った。でもあれで犯人逮捕できるんだろうけど。


ご飯を食べに行くことが出来ない私は、隅っこで大人しく膝を抱えながら空腹を耐えるのに専念することにした。


しばらくすれば警察の人達が登場。探偵君の姿に「また君か……」と呆れたような声を出す人が。


“また”って言われるくらい、しょっちゅう事件に首突っ込んでんのか……と私も呆れる。そう言えば、松田さんと萩原さんに久しぶりに会ったときも、「あの子またいる」みたいなこと言ってたな。


(……まさか君が事件を引き寄せてるわけ？死神にでも愛されてるんじゃないの？嫌なものに好かれたな。私を巻き込むなよ。お祓いして来い)


探偵君は死神に愛された子って、脳内データに加わった。






──時間が経つに連れて、犯人像が浮かび上がってきているのか、探偵君とバーボンは自信に満ちた顔付きになる。


そんな二人を尻目に、私は膝を抱えたまま動かず待機。考えてることなんて一つだけだ。


(おなかすいてしにそう……しゅーいち、たすけて……)


脳内で助けを呼び続けることしかしてない。マジで無理。何回かわかんないけど、お腹ぐーぐー鳴ったから。


顔を上げてんのも嫌になったので、膝に埋める。


(……がししそう。これでもし……しんだら、あいつらのろってやる……)


なんてことを考えた。それともう一つ思うことは、座ってんのも嫌になったら私は力なく床に倒れ込むだろうな……ってことだ。ピクリとも動かなくなる自信がある。目の前に食べ物を差し出されない限り。


早く解決しろよ……お前ら探偵だろー……。バーボンは自称探偵だけど。でも公安の中でも飛びきり優秀なのがゼロだろー……。はーやーくー……。


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