貴方のために出来ること〜もう一つの未来へ〜 part.7【名探偵コナン】

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秀一の腕は食うためじゃなくて、甘えるために噛んでるの。それにバーボンの腕、黒いじゃん！焦げてるみたいで噛み付きたくない！……バーボンの腕ってだけで、噛むって選択肢ないわ。ないない。


目の前で固まっているバーボンが邪魔なので、横に移動する。動くと余計にお腹空くんだから退けよ！と内心で強く思うが、声には出さない。


膝を抱え直せば、探偵君と視線が合う。おいでって手招きしたけど、首を横に振る動作。しかも勢いがすごい。なので


『噛まないですから』


「ウソだ！」


『本当です』


「……絶対？」


『はい』


「……もし噛んだら、猫さんが内緒にしてること全部言うから」


探偵君の言い分に、誰に何を言うのかすぐ分かった。私が彼に口止めしてることを、全て秀一に言うつもりだと。素晴らしい程の脅し文句に、私は即答する。


『絶対噛みません』


「絶対だからね！」


『はい』


数回のやり取りの末、やっと寄ってきてくれた探偵君。彼に手を伸ばして、避けられる前にむんずと頬っぺたを掴んでやった。


「ひゃにふんほ！」


『このもっちり頬っぺたの変わりになるものないですかねー……』


「はめへほ！」


むーにむーにと弄くり回す。空腹過ぎて、違うことに気を紛らわさないと暴れそうだ。


「いはいっへは！」


『……おなかすいた……』


「ひいへふ!?」


『……おなかすいたよー……』


「へほはん！」


ぐぅぅ〜……と盛大に鳴る腹。女の子なら普通恥ずかしがるだろうけど、私にそんな感情はない！……訳ではないけど、気にしてる余裕はない。無理だ。


(だれかわたしにえさをくれ……)


と心の中で懇願する。その間も手は探偵君の頬っぺた弄くり回してるから。それを見たバーボンは「Aさん……？コナンくんが痛がってますから……そのくらいにしてあげてください……」と手を伸ばして来たんだけど、その手を払い除ける。そして


『触らないで。早く事件を解決してきてください』


って睨み付けてやった。そして早く飯を食わせろこのやろー。という気持ちも込めてな。もう空腹過ぎて、不機嫌MAX一歩手前くらいにいる。当たり散らしてやるぞ。……いや。もう既に当たってるな。


困ったように眉を下げているバーボンと、頬っぺた弄くり回されて「はめへっへは！」と騒いでる探偵君。そして『おなかすいた……』だけを繰り返している壊れた人形みたいな私。カオスだ。


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