貴方のために出来ること〜もう一つの未来へ〜 part.6【名探偵コナン】

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Aside


私は現在、歩道脇にある木の枝で縮こまりながら時が来るのを待っている。何やってんだ？って感じだろうけど、すぐにわかることになるので内緒だ。


尻尾を立てて左右にふりふりと動かしながら、木の下を通る通行人を眺める。


(もうそろそろのはず……)


聞いたことのある声が聞こえて顔を上げれば、約20m程離れたところに目的の人の姿。内心で『こっち来い来い』と祈っていれば、私の思い通りに近付いてきてくれる。


(今だ！)


ぴょーんっ！と木の枝を蹴って飛ぶ。視界に入るのは目と口を開けて驚愕の表情をした人。その人の胸へと飛び込んで行けば


『みゃあ！(ナイスキャッチ！)』


「び、びびった……」


「あー！Aー！久しぶりー」


『みゃー(お久しぶりでーす)』


頭に乗る大きな手で撫でくりされる。「機嫌は治ったかなー？」って言いながら、そのまま手は顎へ移動し背中やお腹まで伸びて四足全てと握手。最後は尻尾をするーっと。一言で言えば余すことなく触られた。ってことです。はい。


「うんうん。機嫌治ったねー」


『みゃ。みぅ(治った。ずいぶん前に)』


にこにこと笑顔で撫で回してくる萩原さん。そして私を胸元で抱えているけど、まったく動かない松田さん。すんごく視線を感じるので顔をあげれば、ぱちっと目が合う。でも何も言わない。なので『みゃー(あそぼー)』って鳴いて、後ろ足で松田さんの腕に立ち、胸元に前足を置いて体を支える。そして松田さんの下顎付近に頭を擦り付けた。


『みゃー(かまってー)(ｽﾘｽﾘ』


「松田ばっかズルい。A、俺にも甘えて」


萩原さんはそう言いながら両手を広げてくる。なので萩原さんへ体を向けて、移動しようとしたらお腹に手を入れられ、足が宙に浮く。そして松田さんの胸元に抱えられて身動きとれん状態に。


『み？』


「はぁぁ……もう来ねぇかと思った……」


『みゃう(それはない)』


「ほら。ちゃんとAも否定してんじゃん。心配し過ぎだっつったろ」


松田さんどしたの？って思いながら、萩原さんをじっと見てれば説明してくれた。


松田さんの言葉に私が怒って噛み付いたあと、ずっとそわそわしたり気落ちしたりしてたらしい。しかもあれから結構時間が経ってる。だから私が松田さんに会いに来ることを止めたんじゃないかと思ったんだって。


「こいつが気まぐれすぎて神経削った……」


『みゃぁ……(ごめんね、来なくて……)』


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