貴方のために出来ること part.12【名探偵コナン】

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早いもので春。私は高校3年生になったよ。クラス替えも有って、『どうもはじめまして』の人達がそこそこにいる。なので集まってきた人達の自己紹介を聞きつつ、笑顔を張り付け続けた。何度も言うが、これはバーボンの仕事だろ。


そうそう。同じクラスだった人ももちろんいる。女子は風間さん他、男子は梅ちゃん他。もうね。私と梅ちゃんはセット扱いだ。春休み入る前に担任の斎藤先生が


「神谷。3年になっても梅原と一緒だから」


『あ、はい』


って事前に教えてくれた。ついでに


「安心しろ。俺も繰り上げで担任だ……」


『そ、そうですか……。またよろしくお願い致します』


何か悟りを開いたんじゃないかと言うくらいに、先生が遠くを見つめていたよ。それだけ心労に来ることがあるんだね。御愁傷様です。


とまあそんなこんなで3年生になってから、既に1ヶ月が経ってる。今は「神谷。進路希望調査表出してないのお前だけだぞ」と先生に言われ、目の前にはその用紙があるのだ。


「名前すら書いてねぇ……」


『うん。そーなんだよ。はっきり言ってヘマさえしなきゃ食っていけるからさ』


「ああ、だろうな」


『梅ちゃんは用紙(これ)どーしたの？』って質問してみれば、「不良(俺)が行ける大学はねぇからな。叔父さんとこに世話なる予定」と。『なるほど。バイク屋さんね』なんてやる。


『……とりあえず就職でいっか！』


「かる……」


という事で、呆れる梅ちゃんは放っておいて、そのまま提出した。







──それから数日後。


「Aちゃん、大学行かないの？」


『え？なぜ有希子さん知ってるんですか？』


有希子さんにお呼ばれしてお家にお邪魔した。リビングのソファに座り、頂いた紅茶を一口飲んだ瞬間に言われたのだ。


「先生から連絡が有ったのよ」と有希子さん。


あー……そう言えば、もしもの時の連絡先に工藤家(ここ)の番号にさせて貰ったんだった。忘れてたわ。


「就職を選んだってことを聞いたわ。もしかしなくても……資金の問題かしら……？」


『え？』


「大学はお金が掛かるものね……」


「大学によっては奨学金などの制度もあるけれど、学生の内に借金を背負うようなものだからね……無理に勧めることは出来ない」


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