貴方のために出来ること part.12【名探偵コナン】

505, ページ40

──お風呂から出て着替えをし終えれば、目に入るのはパソコン。


『あ。もう一仕事残ってたわ』


と、やらねばならぬことを思い出し画面前に座る。両手首をぷらぷら三・四回させてからキーボードへ手を置いた。


梅ちゃんには言わなかったけど、市橋さんを襲ったのは金貸しの一人。あいつらの手口は


・お金を貸す。
・借りた人が銀行へ行くまでに襲う。
・そしてお金を回収する。


の三つ。今までもあの金貸しからお金を借りた人達は、使ってもいない分のお金の支払いをしていたんだ。毎回やってた訳じゃないみたいだし、やり方も変えてたようだけど。同じ事を繰り返してたら、足がついちゃうだろうからね。そして大半は高額な貸し借りをした人がターゲットだ。


『ほんっと、さいてーだよ』


という事で、ちょっとした報復を与えてやりたいと思います。私は正義の味方ではないので容赦はしません。そしてやった事は、うにゃうにゃと誤魔化させて頂きます。


まず、私がお支払したお金は返して頂こう。汗と涙の詰まったやつだから。ついでに梅ちゃんも頑張ったやつだから。


──ﾀﾝｯ!とenterキーを押せば、金貸し屋の口座に入っていた金額から4000万が消える。


そして市橋さんの入院費と、啓子さんと叔父さんに掛かった心労などの慰謝料。ついでに梅ちゃんに掛かった心労も入れておこう。


『──あとはー……あ！』


私の睡眠時間を奪ったこと。心身と肌へのダメージ。まともに、ご飯やおやつ食べれなかったこと。松田さんと萩原さんのお誘いを、お断りせざるを得なくしたこと。……あとなんかないかな？思い付かないけど、まだ何かあるような気がするから、それ諸々含めた慰謝料で。


画面に写し出されている金額は6000万。支払った金額と合わせると１億だ。……やりすぎか？まあいいか。


enterキーを押そうと手を伸ばす。けどピタッと動きを止めた。理由は


『……こんなことしたら秀一に怒られる？』


首を傾げながら頭に浮かぶのは、黒い空気を纏い笑顔の秀一の姿。……こわっ。足が付かないようにしてるから、バレないだろうけど……。


.

506,→←504,

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す