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「ああ……明日な」と背を向けた梅ちゃん。その後ろを付いていくミケブチ。ふと思い出したことがあり『待った!』と声を掛ければ、足を止めて振り向く。ミケブチも一緒に。『これ一応渡しとく。勝手に入って』と放り投げたもの。それを簡単にキャッチした梅ちゃんは手を広げて
「鍵?」
『うん。チャイム鳴らされても出ないかもしれないから』
「わかった」と頷いて今度こそ帰っていった梅ちゃん。カチャッと鍵の閉まる音が聞こえたから、施錠してくれたんだろう。
『さて……』
パソコンへ体と顔を向ける。目を瞑り大きく息を吸って吐く。目を開ければ『やるか』と小さく呟いて仕事に取り掛かった__。
──今受けてる仕事を片付け終わり、梅ちゃんに持って行って貰うように形作る。自分で一からやるんだったら間違うことはないけど、今回は梅ちゃんの初めての挑戦。チビッ子のお使いとは扱うものが違うから、間違われては困る。
(もちろん。私も間違えないようにしなきゃ)
取引先を書いた付箋に英字を書き、そのデータが入ってるUSBを封筒に入れて封を閉める。同じ英字を記載して付箋を貼っつける。それを数個作り終えたら、立ち上がり珈琲を入れにキッチンへ。
簡易に食事を作って、行儀悪いがパソコンまで持っていく。片手で食べながらタイピングしていれば、カチャッと鍵の開く音がした。時計へ視線を向ければ、朝の鍛練がとっくに終わってる時間。
大きい気配と、小さい気配二つが近付いてくるのを感じて
『おはよ。珈琲淹れたばっかだから、飲みたかったら飲んでいいよ』
「はよ。……お前、後頭部に目ぇ付いてんのか?」
『何言ってんの。鍵の開く音したし、気配だってするし、わかるよ』
「……ああそうか」
「そうだったな……」とぼそりと後ろで呟いた梅ちゃん。なんだよ?驚かせたかったのか?考えが甘いぞ。
『そこにデータ置いてあるから。指紋つけないように手袋しなよ』
って振り向く。テーブルの上にいたミケブチが視界に入れば
『ぶふっ……なんだそれ(ケラケラ』
ミケブチの額には「必勝」とか「根性」って書かれたハチマキが巻かれてた。思わぬことに、吹き出しちゃったよ。
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夜空(プロフ) - いつも楽しみにしてます最近頑張ってください応援しています (2021年5月1日 19時) (レス) id: 15c1247fea (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - リュウさん» れると思わず、そうくるか!と笑ってしまいました。これに関しては予定外過ぎて、お話が頭に思い浮かびません。ふとした時に浮かぶかもしれませんし、浮かばないかもしれません。現在確約は出来ませんので、出来た際にはラッキー!と思って頂けると助かります^-^; (2019年2月22日 14時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - リュウさん» 一日でここまで読んで頂いたなんて…読むのお早いですね゜-゜「面白い」と思って頂けたなら幸いです。梅ちゃんを「いいキャラ」と言って頂き、自分で作ったキャラを褒められると表情筋が緩くなります。ありがとうございます。まさかの「梅ちゃんとの恋愛関係を」と言わ (2019年2月22日 14時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
リュウ(プロフ) - 今日作品を発見し面白くて一気に読ませていただきました。赤井さんとの恋愛も気になりますが、分岐で梅ちゃんとの恋愛関係も見てみたいなぁと呼んで思ってしまうほどいいキャラで好きです^_^今後の展開を楽しみにしています! (2019年2月21日 22時) (レス) id: bec6ee4931 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 蘇央さん» そこまで言って頂けるなんて…感動ものです。作者の書きたいものを書いているので、展開が遅く、赤井さんが出てこないのですが…。少しずつ再会へと進んでいくので、御了承下さい。これからも読者様に楽しんで頂ける作品になるよう作りたいと思います。 (2019年1月29日 13時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2019年1月27日 11時