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赤井side
俺はスコッチを逃がす為に、建物の屋上まで奴を追いかけた。逃げ道を失ったスコッチは俺に向かって拳を振り上げてくる。それを難なく避けて投げ飛ばしたが、一瞬の隙をつかれ拳銃を抜き取られてしまった。
「さすがだな、スコッチ……。俺に投げ飛ばされるフリをして、俺の拳銃を抜き取るとは……」
両手を頭の位置まで上げながら、スコッチの動きに注意しつつ言葉を掛ける。
「命乞いをするわけではないが……俺を撃つ前に話を聞いてみる気はないか?」
「け、拳銃は、お前を撃つために抜いたんじゃない……こうする……」
こちらに向けていた拳銃を自分自身に向けたスコッチへ俺は駆け出そうとしたが、いきなり暗い影がスコッチの真後ろの壁の上に現れる。
「為だ!!……っ!?」
その影はスコッチの後ろから手を伸ばし、彼の持っていたリボルバーのシリンダーを掴んで、この場に似合わぬ言葉を言った。
『こんばんは、お兄さん達。良い夜だね』
「お前は……!?」
「「チェシャ猫!?」」
『ニャハ♪僕も有名になったもんだねー。ところで、こんな物騒なもの自分自身に向けて何やってんの?お兄さん』
「!?」
首を傾げてスコッチの顔を覗き込むように問いかけるチェシャ猫。先程までスコッチが持っていたはずの拳銃を手で弄びながら。
「いつの間に!?」
『んー?普通に取ったと思うんだけど?』
「……っ」
組織の邪魔をするかのようにいきなり出て来て、気付いたときには消える。何が目的なのかは分からないが、組織の敵である。そして組織に潜入している俺も、こいつにとっては敵側。
(こんな時に、こいつの相手をしてる暇は……)
『それで、FBIのお兄さんと公安のお兄さんが何で喧嘩してるの?』
「「は?」」
「……え、えふ、びー、あい?ライ、お前……?」
「あぁ、俺はFBIから潜入している赤井秀一だ。知っていたのか、チェシャ猫」
『まーねー(ニマニマ』
壁から地面に降りて俺とスコッチの間に立つそいつは、楽しそうに目を細めて口角をあげる。
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雪丗(プロフ) - まぁさん» コメントと誤字の指摘ありがとうございます。誤字は修正いたしました。睡眠不足になりながらも読んで頂けるなんてとても嬉しいです。ありがとうございます。最後まで楽しんで頂ける作品になるよう精進していきます。 (2018年6月23日 21時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
まぁ(プロフ) - 只今睡眠不足になりながら読んで居ますとっても面白いので続きが楽しみです(*´ω`*) 60話目なのですが「不思議の国のアリス」は童話で童謡は歌です。 (2018年6月23日 21時) (レス) id: bc142c419e (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます。夢主ちゃんの恋は……どうなるんでしょうかね?作者もうまくいって欲しいと思ってます。ルパンは夢主ちゃんの遊び(イタズラ)相手です!これは変わることはないでしょうw最後まで楽しんで頂ける作品を作れるよう頑張ります。 (2018年4月26日 21時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - このお話では夢主ちゃんの恋が実るのか気になります!あとルパンも好きなので、出てくれてて嬉しいです!これからも頑張ってください! (2018年4月26日 20時) (レス) id: adda87380c (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - シーナさん» ありがとうございます。読んで頂いて作者もとても嬉しいです。 (2018年4月22日 22時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年4月18日 17時