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『今までの喧嘩相手の武器は、角材、鉄棒、バット、木刀、竹刀っていう長物。こういう相手はリーチ差が出るから、間合いの取り方が大事』
「ああ……」
『まあ当たり所が悪くない限り、痛いで済むから突っ込んでもいいよ』
「それはおかしいだろ!?講座なら詳しく説明しろよ!」
Aは右手の人差し指を立て、左手を腰に当てながら仁王立ちのまま言葉を出す。
『今日の講座は、刃物を持つ相手にどう対処するかだよ!』
「……俺の言葉は無視か……」
『刺さったら“痛い!”じゃ済まないからね』
「……はいはい」
Aは、足元に落ちていた30cm程の長さの枝を拾い上げる。そしてそれの端を左手に持ち
「っ!?」
『まあこんな小枝程度でも、人体に傷を付けることは可能なんだけどさ』
梅原の喉元に先を当てる。彼女からは僅かに冷やりとした空気が流れ、その様子に梅原は唾を飲み込み、額からは汗が流れる。“動けば刺されるかもしれない”と脳内で警告が鳴っていた。
『扱う人によっては、こんなんでも凶器。気を付けよーねー』
にんまりと笑顔を梅原に向けながら、彼の喉元に向けていた枝を離す。この時には、先程まで纏っていた空気が嘘のように消え失せていた。梅原は彼女のその様子に小さく息を吐く。
「……お前みてぇのが居るってのか?」
『私みたいのは、そうそう居ないよ。でも危ないやつは何処にでもいる。この間の剣道の人達だって、竹刀から刃物に持ち替えれば危ない人になるでしょ?』
「……あいつらが刃物持ってたら、どうすりゃいいか分かんねぇな」
『うんうん。だからこの時間だよ』
「……わかった」
『じゃあ、始めるよ──』
─
──
───
梅原side
(一対一なら、切っ先から目を逸らすな……か)
じりじりと間合いを詰めてくる目の前の男の動きに注意を払う。
(だが刃物ばかりを見ていれば、他からの攻撃に対応できない。相手全体を視野に入れつつ、刃物にも意識を向ける……だったな。……って何で俺はこんなことしてんだ……)
何ヵ月か前までは、そこら辺の不良と殴り合ってただけ。神谷に関わってから、面倒臭せぇことばっか起こる。あいつには何度となく助けられてもいるし、朝の鍛練が無きゃ今頃良くて退学。悪くて病院のベットの上だな。
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雪丗(プロフ) - そるてぃーらいちさん» 確かに銃刀法違反ですねw本当でしたら剣道に限らず、空手やボクシングなどの武道をやっている人は一般人に拳や竹刀を向けてはいけないんですよね。分かってはいたのですが、梅ちゃんに成長して欲しかったんですっ…!(><)目を瞑って頂けると助かります(^-^; (2020年3月26日 21時) (レス) id: 61bafc2705 (このIDを非表示/違反報告)
そるてぃーらいち(プロフ) - 440話位で段持っている人が木刀で喧嘩してて笑いましたw完全に銃刀法違反てすねw (2020年3月26日 12時) (レス) id: 5df2838d1a (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - キキさん» 「面白い」や「夢主ちゃんかっこいい」など言って頂けると書く意欲が湧いてきます。ありがとうございます!作者は現在単純脳なので、読者様にもう1話プレゼントをお送りします(^^) (2019年1月21日 21時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - 今回も面白かったです♪刃物を持った相手にも余裕の夢主ちゃん、かっこいいですね!更新ありがとうございました!これからも応援しています(^o^) (2019年1月21日 18時) (レス) id: cc6696e063 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 神酒さん» ありがとうございます!これからも楽しんで貰えるように頑張りますよ! (2018年12月18日 17時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年12月2日 15時