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――勉強の合間に、毎日訪れるようになった故郷の地。そこで私は、男の人─ゼオン─と共に過ごすことが増えた。話をするわけではないけれど、居心地が悪いわけでもない。私は里の中心でお役目をこなすことが日課になった。

ゼオンは私の見える場所で腰を下ろして、浄化の光を浴びてゆるりと過ごしている。本当にただそれだけ。

そんな日々をしばらく過ごしていた。そして今日も故郷へ行こうと足を伸ばす。お弁当とお酒の入った籠を持って森を歩く。

『お酒も種類がたくさんあるみたいですけれど、ガランが飲むものはこれだけなのですよね。ゼオンは飲むでしょうか?』

ガランに頼んで一本だけ貰ってきたお酒。「何に使うんだ?」とか、「飲むんじゃないだろうな?」とか聞かれたけれど何とか手に入れた。

『ゼオンが飲まなければ、持ち帰ればいいだけですよね』と考えながら歩く私。手元へ向けていた視線を前に向ける。すると

『っ!?』

目の前にいたのは≪魔獣≫。前に会った狼型ではなく植物型。木の腹に黒い目と口の顔が現れ、たくさんの枝が手のように蠢き、普通の木なら地に埋まっている根が、足の代わりのように地を移動する。樹人―トレント―。

私を見つけたトレントは、黒い目と口を不気味に歪め近付こうとした。それに恐怖を感じた私は咄嗟に浄化の力を使い、トレントの浄化を試みる。でも

『きゃあ!?』

伸びて来た枝が私の足を掴んで倒された。そして引っ張られ、地面を引き摺られる。手に持っていた荷物は落ちて、ガシャン!と酒瓶は割れてしまった。

『いや……!離して!!』

抵抗するように、自身の足を掴む枝を取ろうとするけれど、トレントからしたら大した抵抗にもならないのか、引き摺ずられ続ける。

そして変わらずコントロール出来ない幻獣王の力。使えさえすれば、狼型の魔獣の時のように追い払うことくらい出来たかもしれない。

でも今回は、夜の営みやガランを助けた時と同じ“拒絶”をしているにも関わらず、幻獣王の力が発動することはなかった。

(なんで!?なんで……!?)

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設定タグ:女主人公 , ファンタジー , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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雪丗(プロフ) - キキさん» こちらにまで来て頂き、ありがとうございます。こちらの小説更新はカメさん以下の速度になるかと思いますが、少しずつ更新していきたいと思っております。今後ともよろしくお願い致します。 (2019年1月24日 13時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - チェシャ猫が好きすぎて、こちらにも遊びに来たのですが…こっちもすごく面白いです!トレントの場面、ドキドキしました!どのキャラクターも皆、素敵ですね♪ファンタジーの不思議さやカッコよさがとても伝わってきます。無理なさらない範囲で、がんばってください! (2019年1月23日 22時) (レス) id: cc6696e063 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 雪丗さん» アドバイスありがとうございました!参考になりました! (2018年12月16日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 如月 唯奈さん» アドバイスが出来るかはわかりませんが、小説を読まさせて頂きます。読み終わりましたら、如月様の小説の方へコメント致します。少々お時間下さいませ。 (2018年12月12日 0時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 私もファンタジーのオリジナル小説を書いているのですが、表現が上手くできません……何かアドバイスくださいっ! (2018年12月11日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年11月22日 0時

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