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Aside
眉間にシワを寄せて、手元を凝視しながら考える。私は今、文字の読み書きの勉強中。読み書きをしたことなかったから、覚えるのが大変で考えてる訳ではない。今私が悩んでいること、それは__
私の手元が動いていないことに、不思議に思ったのかバレッタは声を掛けてくれる。
「どうかしたかい?」
『……そろそろ相手を見つけて、繋げねばと……』
私の言葉に目を見開くバレッタ。でもすぐに寂しげに目を伏せる。
私は既に一八歳。そろそろ次の巫女を産まなければいけない、そんな年齢。先代の巫女─私の母─は、二三歳で亡くなった。だから私も同じだとすれば七年ある。でも、早ければ一年と少しで命尽きる可能性も無くはない。
産んだ子供と少しでも過ごす時間を求めるならば、早い方が良い。だけど私は、男の人との営みを拒む傾向がある。頭では必要なことだと理解しているのだけど、私の中の力が拒んでしまう。……違うか。私自身が、心の奥底で受け入れられないのかもしれない。
(コントロール出来ない強力な力が、自分自身の中にある……)
いつ、どこで、また同じ過ちを繰り返すかわからない。それが私の不安の目になっているのだろう。体の異変のことも、その一つ。
食欲、睡眠欲が沸かない。これは今も変わらずにある。バレッタやアミィが声を掛けるから、食事や睡眠を取っている。けど私一人きりだったら、どちらも二の次になっていたかもしれない……。
顔を横に向ければ、鏡に自分自身の姿が写る。体から僅かに昇る穢れが見えた。それを見なかったように視線を逸らして、手元の勉強に向かう。
――しばらく机に向かっていたけど、全く集中できなかった。だから『息抜きをして来ます』とバレッタに伝えて外に出る。向かった先は、私の故郷。と言っても何もないのだけれど。それでも故郷に代わりない。懐かしさを感じたことも偽りではない。だから足を進める。
私の手には花飾りが。「いつでも故郷に来れるように」と、アミィが私に授けてくれたもの。これにはアミィの力が込められていて、妖精族が作った偽りの道を無効化し、正しい道へと導いてくれるというもの。
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雪丗(プロフ) - キキさん» こちらにまで来て頂き、ありがとうございます。こちらの小説更新はカメさん以下の速度になるかと思いますが、少しずつ更新していきたいと思っております。今後ともよろしくお願い致します。 (2019年1月24日 13時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - チェシャ猫が好きすぎて、こちらにも遊びに来たのですが…こっちもすごく面白いです!トレントの場面、ドキドキしました!どのキャラクターも皆、素敵ですね♪ファンタジーの不思議さやカッコよさがとても伝わってきます。無理なさらない範囲で、がんばってください! (2019年1月23日 22時) (レス) id: cc6696e063 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 雪丗さん» アドバイスありがとうございました!参考になりました! (2018年12月16日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 如月 唯奈さん» アドバイスが出来るかはわかりませんが、小説を読まさせて頂きます。読み終わりましたら、如月様の小説の方へコメント致します。少々お時間下さいませ。 (2018年12月12日 0時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 私もファンタジーのオリジナル小説を書いているのですが、表現が上手くできません……何かアドバイスくださいっ! (2018年12月11日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年11月22日 0時