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「……浄化の力を使ってみろ」
『はい』
ゼオンの言葉に従って浄化の力を使えば、辺り一面に光が広がる。彼に顔を向ければ、目を細めて光を見つめていた。その表情は、どこか憂いを帯びているように見える。それも一瞬で消えてしまったけれど。
「……“コントロールが出来ない”と言うより、浄化以外の魔法を使うのを拒んでいるのか」
『そ、そんなことは……』
「“ない”とは言い切れないだろう」
真っ直ぐに私を見てくるゼオン。ガランの所に共にいるにあたって、彼にも私の事は話した。私の今までの生活を……。だから否定しても通じない。
「……やはり頑固だな」
『っ……』
「俺がいる限り魔力の暴走などさせん」
『ゼオ』
「もしじゃじゃ馬の如く暴れ回ったとしても、小娘の力程度。どうとでもできる」
『…………』
ゼオンの言葉に安心した。彼の言うことは、心から信用できるから。にも関わらず、二言目には暴言。彼からしたら確かに小娘だろうけど。……腹立たしいです。
この日からゼオンに魔力のコントロールを教わることに。教わると言っても、相変わらず「見て覚えろ、やって覚えろ」だけれど。私の体を包むゼオンの魔力。「俺の魔力の動きを体で覚えろ」と言うことらしい。
私は動こうとしていないのに体が勝手に動く。手を上げたり、お辞儀したり、数歩前に歩いたり、跳び跳ねたり、その場で回転したり
『目が回りますぅぅ……』
「クククッ。玩具だな」
『人を何だと!?』
口で抵抗の言葉を言っても、体は言うことを聞かない。本当に彼の玩具のように動く。
「魔力のコントロールが出来るようになったときには、傀儡にならぬよう抵抗の方法も教えてやる」
『……今はゼオンの傀儡に甘んじろと……?』
「フッ。悪いようにはせんさ」
意地の悪い笑みを浮かべながら楽しそうに喉を鳴らすゼオンに、魔力のコントロールが出来るようになったら、一泡吹かせてやります!と私は心に誓うのだった__。
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雪丗(プロフ) - キキさん» こちらにまで来て頂き、ありがとうございます。こちらの小説更新はカメさん以下の速度になるかと思いますが、少しずつ更新していきたいと思っております。今後ともよろしくお願い致します。 (2019年1月24日 13時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
キキ(プロフ) - チェシャ猫が好きすぎて、こちらにも遊びに来たのですが…こっちもすごく面白いです!トレントの場面、ドキドキしました!どのキャラクターも皆、素敵ですね♪ファンタジーの不思議さやカッコよさがとても伝わってきます。無理なさらない範囲で、がんばってください! (2019年1月23日 22時) (レス) id: cc6696e063 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 雪丗さん» アドバイスありがとうございました!参考になりました! (2018年12月16日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 如月 唯奈さん» アドバイスが出来るかはわかりませんが、小説を読まさせて頂きます。読み終わりましたら、如月様の小説の方へコメント致します。少々お時間下さいませ。 (2018年12月12日 0時) (レス) id: a6201812ee (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 私もファンタジーのオリジナル小説を書いているのですが、表現が上手くできません……何かアドバイスくださいっ! (2018年12月11日 21時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年11月22日 0時