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――という決定の元、デパートに来たんだけど……
「申し訳ありません。未成年の方にお酒はお売りできません」
『料理で使うのですが……』
「保護者の方と再度お買い求めください」
(くそぅ……。世の中世知辛い……(シクシク)
心の中で涙を流していたら、ドンッ!と足に衝撃が来た。なんだ?と下を見てみると
「お姉ちゃん!買えた?」
ニパッ!とした満面の笑顔で、私の足にしがみつきながら見上げてくる探偵君の姿。それは素でやってるのかな?なら可愛い。
『買えなくて困ってるの……』
目線を合わせるように屈んで、眉を下げて答える。
「だと思ったんだー!だからおじさん連れてきたよ!」
『おじさん?』
誰だ?って思っていたら「新一君」と探偵君の名前を呼ぶ声が聞こえて顔をあげる。そこにいたのは、子供達の保護者をやっていた阿笠博士。体型は10年後とあまり変わらないが、髪や髭は黒く、頭の上も寂しくない。
そして彼らに一芝居打って貰い、無事に赤ワインを買うことが出来た。
『本当に助かりました。ありがとうございます(ペコリ』
「困ったときはお互い様だよ」
そう言って笑う阿笠博士は人が良いのがよくわかる。なのでお礼に『甘いものでもどうですか?』とお誘いして、現在デパート内にあるフードコートで改めて自己紹介しながらおやつの時間だ。
「なぁA」
『先程は“お姉ちゃん”と呼んでくれたのに、もう呼び捨てですか?』
「いいだろ!別に」
『よくはないと思いますよ』
つんつんと頬を突っついていれば、不機嫌そうに顔を歪めて体を捩って逃れようとする。まあこんな狭い所では逃げられないので、私のオモチャになってるけど。
実は私は呼ばれ方に拘りはない。この間までA、チェシャ猫、アスティと3つの名前があった。彼には「猫さん」、「アスティ」と二通りで呼ばれていたし。正体知られてなかったから、当たり前なんだけど。
ただ秀一には“A”って呼んで欲しいなって思いはあった。でも“チェシャ”って呼ばれるのも結構好き。ふふふ♪
って話が逸れた。何が言いたいかと言うと、甘やかしてはいけないんだと言うこと。彼の場合は大丈夫だと思うが、教育的にはよくないってことで。……本音は先程の“お姉ちゃん”呼びが、新鮮でちょっと嬉しかったからだったりする。
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雪丗(プロフ) - 陽氷さん» こんばんは。この作品を読んで頂き、ありがとうございます。(T−T) こうなりましたか。そのコメントは作者にとって、これ以上ないくらい嬉しい言葉です。ありがとうございます。これからも頑張らせて頂きます! (2019年5月13日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
陽氷 - どうも!作品見させていただきました!!最後、夢主ちゃんが潰された時、俺(女)号泣しましたからね!! あ、でも無言で涙を大量に流しただけなんですけども!!!顔文字で表すとこんな感じです。(T−T) 応援してます!!!頑張ってください!!! (2019年5月13日 10時) (レス) id: ee0a1026f0 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 誰なんだぁ!!続き気になる! (2018年9月3日 21時) (レス) id: ae3d71bb82 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 桜さん» いつもコメントありがとうございます。盗一さんとは会いませんでした。今後会うかは現在未定です。 (2018年9月1日 10時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 美八ノモナカさん» コメントありがとうございます。今後も読者様が飽きることない作品、そして楽しんで頂ける作品になるよう頑張っていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 (2018年8月31日 12時) (レス) id: b6a8bd3c6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年7月23日 21時