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バーボンの大声が車内に響く。電話越しでもわかるくらいの怒気を含んだ声。


「俺は何もしてないさ。見付けたときにはすでに重症。はっきり言って今生きているのが不思議なほどだ」


<なんだと!?>


「彼女の話を先に聞け。詳しくはそれが終わってからだ」


<っ!わかりました……>


二人のやり取りを聞きつつ、何とか意識を保っていられた。静かになった相手に声を掛ける。


『……ば、…ぼん』


<はい>


『け、たぃ…こわれま、した』


<はい>


『けが…し、ばら……うごけ…、せ…ん』


<っはい……>


『…おねが、し…ます』


<……わかりました>


視線を秀一に向けると、伝わったのか二人が会話をしだす。それを聞きながら、自分の状況を歯痒く感じる。“これくらいで情けない……”と唇を噛みしめた。強く噛んだからか、血が垂れる感触が。


バックミラーで私のその様子を見た秀一は、一度歩道に車を寄せて止まった。右手で持っていた携帯を左手に持ち替え、右手は此方に伸ばす。


私の唇を指でなぞり、そして首を横に振って、目で“やめろ”と訴えてくる。噛んでいた唇を離した私を見て、軽く頬を撫でられた。


電話が終わって暫くあとに、病院に到着。表玄関からではなく、裏の人通りの少ない関係者用の出入口。そっちにはストレッチャーと数人の医師が待機していた。


運転席から降りた秀一が、助手席の方へ回り私を抱え上げて車から下ろしてくれる。そしてそのままストレッチャーの上に横にされた。


すぐに病院内に入ろうとする医師たちを止め、秀一に手を伸ばす。私の意思に気付いてくれた秀一が耳を寄せてくれる。


「なんだ?」


『おに…さ、――――』



伝えるべきことを伝えた私は、そのまま病院内へと運び込まれた。


.

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雪丗(プロフ) - ベルモットさん» 彼女の正体が記載されている話もありますので。そこを読んで頂いて、わからないことがあれば再度コメントを頂ければ幸いです。お手数をお掛けしますが、よろしくお願い致します。 (2019年6月16日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - ベルモットさん» この作品を読んで頂き、ありがとうございます。夢主の正体に関してですが、先を読んでおられない読者様がいらっしゃるかと思われます。ネタバレ防止のため、このページ内でのお答えは控えさせて頂きます。読み進めて頂ければ、 (2019年6月16日 23時) (レス) id: 6ba5bde614 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 夢主人公って人間ですか? (2019年6月16日 20時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 読みました。原作、名探偵コナンを詳しく知っている方と思いました。私もコナンシリーズの夢小説を書いています。宜しければお読み下さい。黒の組織絡みで好みでした。 (2019年6月16日 20時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 何かヤバイ組織かな?今のところは子供達をさらってる感じかな? どうするんかな?ルパン達は何かお宝かもしれないのかな? (2018年8月23日 16時) (レス) id: ae3d71bb82 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年7月22日 12時

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