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――Aの包帯を取り、傷が残ってないか、骨に異常はないかを確認する。
「ん、完全に治ったな。傷痕もないし骨も大丈夫そうだ」
怪我が完全に治るまで、ここにいるという約束。ちゃんと守ったな。
さて、どうやって引き留めるかと考えていたら、Aがみゃあみゃあ鳴いて窓辺に飛び乗り、出て行こうとするので慌てて捕まえた。
「待て」
そんな簡単に出て行こうとするほど、ここでの生活は嫌だったのか?
愛着が湧いていたのは俺だけだったのか?
そんなことを考えながら、Aに声をかける。
「このままここにいないか?」
『み?』
「お前はまだ小さい。外に出たら、またカラスに襲われるかもしれないぞ」
『みぅみぅ』
何を言ってるかは解らなかったが、俺の手から抜け出したってことは否定なんだろう。
寂しく思い、窓に近づくAの姿を見つめていると振り返った。
「…………行くのか?」
声を掛けたら動きが止まったので、このまま思っていることを全て伝えよう。
Aは頭が良い。何となくでも俺の言葉が理解出来るはずだ。
「お前は外に出れなくてつまらなかったと思うが、俺はお前が来てから凄く楽しかったぞ」
『…………』
「声を掛ければ、返事が戻ってくるのも嬉しかった。お前は頭が良いからな」
『…………』
何処か申し訳なさそうに、不安そうに耳が動いているが、ちゃんと聞いてくれてはいるみたいだ。
「今度はちゃんと家族にならないか?」
『……みぃ?』
「あぁ。俺と家族になろう、A」
『……みゃ?』
「お前の名前だ」
『みゃ……』
Aは俺から視線をはずし、窓に体を向け外を見た。
その様子を見て「駄目なんだな……」って諦めた。
これで最後だからと、出て行こうとするAの姿を眺める。
しばらくするとAはくるりと体をこちらに向け、俺の脚にすり寄ってきた。
これは!とAを顔の前まで抱え上げる。
「家族になってくれるのか?」
『みゃ!』
「これからよろしく頼む、A」
『みゃあ♪』
Aが俺に頬擦りしてきたので、俺はAの額に口付けを返した。
――次の日、Aの名前を掘ったチャーム付きの赤い首輪をプレゼントした。
Aは嬉しそうに俺に頬擦りして来る。その姿はとても愛らしものだった。
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明理(プロフ) - えつ?!そうなんだ?!初耳学…勉強になりました!ありがとうございます!更新始まるの楽しみにしてます! (2022年1月27日 16時) (レス) id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - 明理さん» 猫の尻尾に骨あるんです。小さくて細い骨が複数個連なって尻尾になっているんです。尾椎というそうですよ(^^)骨の回りにいくつかの筋肉があって、魅力的な尻尾の動き(笑)になっているのです(*^^*)尻尾の短い種類の猫は骨の数が少ないそうで、骨はあるそうですよ(^^) (2022年1月27日 10時) (レス) id: a83da031ca (このIDを非表示/違反報告)
明理(プロフ) - 8なんですけど猫のしっぽって骨ありましたっけ?!え?!筋肉じゃありませんでした?!?! (2022年1月26日 20時) (レス) @page9 id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
雪丗(プロフ) - I like chocoさん» 名前変換機能があるからこそ楽しめますよね(^^)喜んで頂けて何よりです。この作品に目を通して頂き、ありがとうございます(*^^*) (2020年5月8日 2時) (レス) id: 61bafc2705 (このIDを非表示/違反報告)
I like choco - 親に名付けられたより赤井さんに名付けられた方が嬉しいと思ってしまった……!めちゃくちゃ嬉しかった!もう名前あるのに! (2020年5月7日 18時) (レス) id: 1b7c1dd1e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪丗 | 作成日時:2018年4月11日 18時