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ep.32 ページ34
鷹見とAはそれぞれ支度を済ませ、Aは管理人を辞める手続きも済ませた。
｢じゃあ、Aさん。ここともさよならしよっか。｣
『……』
Aは何も言わなかった。
言わなかったが、マンションを悲しげな目で見つめている。
｢俺とAさんを会わせてくれた場所、か。
そこには感謝かな。｣
一方鷹見は嬉しそうだった。この場所との別れよりも、これからの生活の楽しみの方が大きいからだ。
｢じゃ、行こっか。｣
『……うん。』
Aの無機質な瞳は鷹見の方へと向き、もう二度と、長く働いてきたマンションへと向けることは無い。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『……啓悟。』
｢何？Aさん。｣
『どうして私なの？』
｢んー、やっぱ最初会った時から好きだったからなー。｣
『そ。』
｢……今はもっと好き。Aさん。｣
『……』
元管理人とプロヒーローは歩いていく。
新しい家へと＿＿＿＿＿＿＿
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作者名：飛べぬひじき | 作成日時：2020年2月18日 20時
