【ヒロアカ】竜胆【ホークス】 (ページ29)

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ep.27 ページ29

Aは身体の気だるさを感じながら起きた。

『っ、.....今、なんじ？』

ぼやける視界で時計を見る。

現在午後10時＿＿＿＿

『10時...帰らなきゃ...』

幸い鷹見はまだ寝ていた。

身の回りを見ると、事の後(ことのあと)。

Aは青ざめ、鷹見を起こさないようにいそいそと帰る支度をした。

直ぐにでも去ろうと思ったAは、支度が出来次第玄関に向かった。

靴を履き、ドアノブに触れた瞬間、ふわっと後ろから包まれる感覚がした。

『鷹見、さん.....』

「いーよ。帰って。

でも、明日も待ってるからね？」

と、後ろから耳元で言われたAは身体を震わせて俯いた。

「そんなに怯えないでよ。

帰んないで欲しくなっちゃうじゃん。」

『か、帰ります！！！』

Aは鷹見の腕を避けて慌ただしく帰っていった。

自室に残った鷹見は、事後の部屋を見渡す。

「はは。

ついに手、出しちゃった。

これじゃあアイツ(義兄)と同じ、か。

笑えるな。

まぁ、後悔はしてないけど。」

一人で自傷気味に笑った。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

Aは自室に戻り、ベッドに蹲っていた。

『どう、して……っ。鷹見さん…

だって、あんなに、っ……あんなに優しい人、なのに…

疲れて、たのかな…？熱出してたからだよね…？

何かの間違いだよ、ね？』

Aは受け止めきれないのか、何かの間違いだと思い込むようにした。

『でも、明日行かなかったら、誰か……死んじゃう？

鷹見さん、壊れちゃう？

明日も……行かなきゃ』

Aの心の中もぐちゃぐちゃになっていた。

酷いことはされたくない。しかし、行かなくては誰かが傷つく。

それはこのマンションの住民かもしれないし、鷹見かもしれない。

一体何を信じればいいのか、誰の為に何をすればいいのか分からなくなっていた。