にこいちマンネ ① (ページ2)

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you side ページ2

私は帰る場所がない、私が何者なのかもわからない。

物心ついた頃には施設にいた

しかし私の名前を呼んでくれた人はいない

だから私は何者なのかを知らない

私にも家族がいたのだろうか。

…ああ、いた。

抱えきれないほどの辛い記憶は、思い出すまで忘れるように人の頭は出来てるんだ。今思い出した。

私の両親は、私が幼い頃にどちらも病気をしたんだった。それで、私は孤児院に入って、それで…

私の顔が憎いって、周りの女の子や大人から酷いことされたんだ。

辛い毎日、名前を呼ばれない毎日、1日1日を終える毎に私は記憶に蓋をした。全て受け入れられる訳がなかった。

台湾で院にいたとき、あまりにもすることがなく暇で、いつも本を読んでいた。それで、外国の言葉を知ったんだ。

それで、わけも分からず私はドイツに来ていた。本当に何も知らないんだ。なぜ国から離れてここに連れて来られたのかも。でもきっと、養子か何か私を引き取ってくれる人がいたんだろう。

私は、このままでいいのか。
まるでペットみたいだと、思ってしまってそれから…

お金は、両親が残してくれたものがあったから、それは忘れずに院から持ち出した。両親がくれたであろうネックレスも忘れずにね。

でも、私は名前を忘れたままなんだ。

誰も、私を呼んでくれなかったから。

橋がある綺麗な所に座ってみた。家族や恋人が手を繋いでる。ドイツ語はなんて言ってるかわかんないけど、たまに愛を囁く英語も聞こえる。

…あぁ、自分をみじめに思うことは辞めたじゃないか。キリがないんだから。

…私の手を繋いでくれる人なんかいない。

院にあった絵本で見た王子様もいない。

今夜はどう過ごそう、明日はどうしよう、そんなことを考えていた。

すると突然、黒髪の少し背の高い男の子が、たどたどしいドイツ語で話しかけてきたんだ。

これが、私たちの運命を大きく変えたんだ。