にこいちマンネ ① (ページ1)

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yy side ページ1

ドイツで出会った

マイン川を繋ぐこの橋には、鍵がかけられていて

恋人の永遠の愛を誓い願うものらしい

ばかばかしいなって思った

そんな恋人ばかりの橋の近くに、1人の天使がいた。

いや、違う。

少女がいた。

驚いたよ

家族も恋人も連れずに、1人座り、遠く夜空を見つめている少女

透き通るプラチナブロンド、あまり健康には見えない華奢な体、薄手のアイボリーのワンピース。

日が落ちきって肌寒いというのに、まるで寒くないような姿

どう見ても違和感しかない

現実離れした世界観がそこにはあった。

美術館のどの作品よりも

ずっと美しい姿に興味をひかれた。

僕はつい声をかけたんだ。

僕は人見知りのはずなんだけど

引き込まれるような美しさにどうかしてしまったんだ。

…きっと。

yy ｢…何を見てるの？｣

｢…｣

振り返った

…あぁ

君は纏う雰囲気だけじゃないみたい。

そんな綺麗な顔をしているんだ。

ほんのりブルーのかかった黒い瞳

yy ｢ぁ…、ごめん。こんな夜に一人でいるから、気になっちゃって。｣

｢(ごめんね、私、英語しか話せないの)｣

yy｢ …!! そうか、なら英語で話すよ。｣

彼女が英語しか話せないことよりも、彼女の可憐な声に、言葉が詰まった。

何者なの？

声まで綺麗だなんて…

間違って落ちてきた天使なのかな

yy ｢…こんな夜に一人でいるから気になったんだ。
その、名前は、なんて言うの？｣

｢名前は… ないの。｣