君がいた世界 (ページ10)

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どのくらい時間がたっただろう

廉と一緒に寝転んで

ずっと星空を見ている

何を話すわけでもなく

でも手は繋いだまま

すごく心地よくて

ずっとこのままがいいなんて思ってしまう

そんなことを考えていると

騒がしかったグラウンドが

徐々に静かになっていくのが分かった

廉「あっち終わりみたいやな」

「そうだね…」

もう帰るかなんて言われるんだろうな

廉「もうちょっとだけ見よか」

そう言って繋いだ手を

少しだけぎゅっとされた

それに答えるように

私も少しだけぎゅっとした

廉「なぁ、A」

廉に呼ばれて

「ん？」と言って顔を見る

廉「俺に生きて欲しいって思う？」

そんなことを聞く廉の顔は

何を考えているのか分からなかった

「思うよ、すごく」

「私は廉に生きて欲しい」

思ってることを言っただけ

ただそれだけ

それなのに廉は「そっか」と言って

私の手を離して「帰るか」と立ち上がった

廉「遅いから送ってくわ」

「いや、いいよ…」

廉「一応女子なんやから素直に送られとけ」

「一応って何よ」

さっきの廉はなんだったのか

そう思うくらい

帰り道の廉はいつも通りだった

廉「あっ、花火大会か…」

お店の窓に貼られたポスターを見て

廉がそう呟いた

廉「一緒に行こ」

「花火大会？」

廉「うん、浴衣着てこいよ」

「じゃあ、廉もね」

それから廉は家まで送ってくれた

自分の部屋に入って今日のことを考えた

私が生きて欲しいって言ったあの時

廉はどう思ったんだろう

なんで廉は生きて欲しいって思うなんて

聞いてきたんだろう

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