君がいた世界 (ページ6)

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廉side

体に違和感が出始めたのは2年になるちょっと前

腹痛いなって思うことが多くなって

俺はそのうち治るやろって思ってたんやけど

親が病院行けうるさいから行ってみたら

膵臓癌やって

それ聞いた瞬間

頭の中真っ白になった

それからどうしたかは覚えてへん

気づいたら親が来ていて

「詳しくお話ししますね」と言われ

病気のことや治療のこと

そしてあとどれくらい生きられるか

親は泣いてたけど

俺は涙さえ出なかった

そんなこと急に言われても

信じられへん…

あと1年も生きられへんなんて

自分が死ぬなんて

誰でも信じたくないやろ

それから俺の日常は変わった

全部どうでもよくなった

ずっと続けてきたサッカーも

それなりに頑張ってきた勉強も

どうせ死ぬんやからって辞めた

でも1番変わったのは家族やった

前までは冗談言い合って

笑いあってたのに

俺が病気になってからは

空気が重たくて

俺に気使ってるんやろなって言うのが分かる

居心地がよかったはずの家が

1番帰りたくない場所になった

その日もそんな家に帰りたくなくて

教室の窓を開けて外の景色を見てた

そしたら偶然向かいの校舎を歩いてる女の子と目が合った

それがAやった

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