傷跡 (ページ3)

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海「あっ、岸くんからだ」

歩いて帰っていると海人がそう言って

岸くんと電話で話してる

海「分かった。じゃあね」

「また？」

海「うん、また」

「岸くんってこういうとこ全然変わらないよね」

そんな話をしながら海人とスーパーに寄る

岸くんは毎日頑張ってるんだけど

買い忘れとかが多くて

こうやってよく学校帰りに頼まれる

海「よし、帰ろうか」

岸くんに頼まれた物も買って

今度こそ海人と一緒に帰る

「ただいま」

海「ただいま。はい、岸くんこれ」

岸「おかえり！おぉ、ありがとな！」

海「もう、いつになったら岸くんは買い忘れしなくなるの」

帰って早々海人にツッコまれてる

岸くんの方が年上なのに

たまにこうやって海人の方がしっかりしてる時があるから

見てて面白い

私はこんな何気ない時間が好き

くだらないことで笑いあえる

それがどれだけ幸せなことかって

ここにいるみんなはすごく分かってる

私がここに来た時

岸くんのご両親が今日からここがAちゃんの家だよって

そう言ってくれた

最初は泣いてばかりだった

でもそんな時

いつもそばにいてくれたのは海人だった

「俺がAちゃんのこと笑わせる！」って言って

変なことしたり岸くんの面白い話したり

そんな海人に根負けして思わず笑っちゃった時は

「やったー！笑った！」って飛び跳ねて喜んでた

そのあと

「ほら、やっぱりAちゃんは笑顔の方が可愛い」

って言われてその言葉が今でも忘れられない

思えばその時から私は

海人のことが好きだったのかもしれない

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