傷跡 (ページ15)

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廉「海人に助けられたエピソード聞かせてや」

「なにそれ」

廉「ええやん。傘持つから」

「いや、私の傘なんだけど」

日誌を書き終わって

廉と一緒の傘に入って帰る

「まぁ、この前の実験のときも助けられたよ」

廉「いや、俺が知らんやつ話せよ」

廉が知らない話か…

「じゃあ、中学校のときの話。まだ廉が転校してくる前」

そう、あの日も雨が降っていた

あの頃の私は疲れてた

何もかもどうでもよくて

もういいやって

こんな人生、生きてても仕方ない

そう思って誰にも何も言わずに

あの施設を出た

岸くんはみんなの相手してて

海人は買い出しを頼まれていなかった

雨の中、傘もささずに

ただただ走って辿り着いたのは

いつも通る歩道橋の上

これで全部終わり

あの時のトラウマや罪悪感から

やっと解放されるんだ

そう思って足をかけたとき

"A！"

聞きなれた声が聞こえたと思ったら

大きな温もりに包まれた

海「バカ！何してんだよ！」

「海人…」

海「ほんとにめっちゃ心配したっ…」

なんで海人がいるの

なんでここに来ちゃうの

もう終わりにしたかったのに…

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