傷跡 (ページ11)

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海「Aが俺の部屋入るの久しぶりだね」

「うん。小学生ぶりかも」

海「えっ、まじ！」

「うん。意外と綺麗にしてるじゃん」

「でしょ」と言ってニコニコしてる海人

海人はいつだってこうやって笑ってて

私はこの笑顔に何度も救われてきた

海「で、どうしたの？」

「お礼言いたくて…」

「お礼？」と何のことかピンと来てないみたい

「今日助けてくれてありがとう」

海「助けられてないよ…」

「えっ…」

海「俺があのとき無理にでも一緒のグループになってれば、Aは辛い思いせずに済んだかもしれない…」

確かにそうかもしれないけど…

でもあの時海人がいなかったら

私はもっとしんどかった

海人がいてくれたから

今もこうやって笑っていられる

「私が助けられたって言ってるんだから、海人がそう思ってなくても助けたってことになるの」

海「A…」

「助けてくれてありがとう。いつも笑わせてくれてありがとう。そばにいてくれてありがとう」

海人の目を見てそう言うと

「何それ、ずるい」と言って

俯いてしまった

「海人？」と顔を覗こうとすると

手で顔を覆って

海「今見ないで、たぶんやばいから」

と言って顔を見せてくれなかったけど

耳が赤くなってたから照れてるってすぐ分かった

岸「Aー！海人ー！ご飯できたぞー！」

岸くんの声が聞こえて

「じゃあ、行こっか」という海人の言葉で

立ち上がって下に降りる

ちゃんと海人にお礼が言えてよかった

助けて貰ってばかりじゃなくて

私も海人を支えたい

私が辛い時

海人がいるだけで心が軽くなるように

海人が辛い時

私がいるだけで海人の心が少しでも軽くなるような

そんな存在になりたいと強く思った

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