はんぶんこ (ページ8)

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「出来たよー」

テーブルに並べながら

ソファでくつろいでいる永瀬に声をかける

廉「おっ、なかなかやるやん」

そう言いながら座って

ちゃんと「いただきます」と言って食べ始めた

廉「うまっ！」

ご飯を口いっぱいに頬張りながら

美味しそうに食べてる姿を見て

なんだかんだ作って良かったなって思った

廉「人の手料理久しぶりに食べたわ」

なんて満足そうに言ってる

食器を片付けようとすると

廉「片付けは俺がするからええで」

と言って皿を洗い出した

なんだそんな優しさもあるんだ

あの時もそうだけど

永瀬は悪いやつじゃない

でもめちゃめちゃ良いやつでもない

本当はどんな人なんだろう

考えてみたら永瀬のこと何にも知らないや

今日から一緒に住んでるのに

廉「なぁ、Aって弁当自分で作ってるん？」

「うん」

廉「じゃあ、明日から俺のも作ってや」

「えっ、なんで？」

廉「ええやん、作ってや！」

「なっ？」ってすごいお願いしてくるから

「いいよ」って言うしかなくて

結局明日から2人分の弁当を作らなきゃいけなくなった

廉「あっ、あとその永瀬呼びやめてや」

「えっ…」

廉「一緒に住んでるんやし、俺はAって呼んでるのにお前だけ永瀬っておかしいやろ」

「でも…」

永瀬としか呼んだことないし

今から下の名前で呼べって言われても

廉「じゃあ永瀬って呼んだら罰金な？」

「なんでっ」

廉「ほら、呼んでみ。廉って」

ニヤニヤしながらこっちを見てくる

ほんとにその顔ムカつく

「れんっ…」

なんか恥ずかしくて

目も見れずに名前を呼んだ

廉「よくできました」

その声と同時に頭に重みを感じた

その重みが手だと気づいたのは

永瀬がその場からいなくなった後だった

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