はんぶんこ (ページ5)

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「あいつどこ行ったの…」

いろんな教室見たけど

永瀬はいなかった

あと見てないところは

「ここか…」

屋上まで続く階段を上る

でも屋上って立ち入り禁止じゃなかった？

そう思いながらもドアを開ける

「いた…」

やっと見つけた

「永瀬…」

呼びかけるとゆっくりこっちを向いた

「さっきはありがとう」

廉「何が？」

「何がってあんな風に言ってくれたから」

廉「別にお前のためにしたことやないから。思ったこと言っただけ」

私のためにしたことじゃないって

ありがとうって言ってるんだから

素直にどういたしましてでいいのに

「でも、ちょっと救われたから。お礼言っとく」

廉「ふーん」

自分の足で立ってちゃんと生きてる

そう言ってくれたのが嬉しかった

頑張ってるねとか

若いのに偉いね

なんてうわべだけの言葉より

ずっと嬉しかったんだ

廉「じゃあ、貸し一つな」

「は？」

廉「だってお前俺に救われたんやろ？」

「それはそうだけど…でも永瀬助けたつもりないって言ったじゃん」

廉「お前、俺と一緒に住め」

えっ、今なんて言った？

一緒に住む？

私が？永瀬と？

「はぁ！？」

廉「じゃあ決まりな」

「いやいや、ちょっと待って！」

廉「お前一人暮らしやろ？俺も一人暮らしやからちょうどええやん」

何言ってるのこの人は

ちょうどええやんって

意味分からない

「何も良くないし、なんで一緒に住まなきゃいけないの？」

廉「今よりだいぶ楽になると思うけど」

「えっ…」

廉「生活、苦しいんやろ？」

図星すぎて言葉が出ない

確かに生活は苦しい

ほぼ毎日バイトに出て

やっとなんとかなってるレベル

廉「全部今の半分で済むって考えたら、なかなかいい提案やと思うんやけど」

「それは…」

廉「じゃあ決まりってことで。俺今日帰るわ」

「えっ、ちょっと！」

私の返事も聞かずに永瀬は帰っていった