はんぶんこ (ページ32)

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それからあっという間に時間は過ぎて

私たちは高校を卒業した

無事就職先も見つかって

4月からは2人とも社会人になる

喧嘩はしょっちゅうしてるけど

なんだかんだ続いてる

2人とも今の家から通える距離の職場だから

引っ越すこともなかった

廉「おい、A。行くで」

「うん！」

そして今日

私たちはある場所へ向かっていた

「ここだよ」

廉「初めまして。Aのお母さん」

お母さんのお墓の前で廉はお辞儀してそう言った

廉「今、Aさんとお付き合いさせて頂いています。永瀬廉といいます」

「ふふっ、なんでそんな堅苦しいの」

廉「彼女のお母さんなんやから、ちゃんとせなあかんやろ」

「廉って変なとこで真面目だよね」

「うるさいな」って言いながらも

ちゃんとお墓も綺麗にしてくれて

大切に思ってくれてるんだなって伝わった

ねぇ、お母さん

廉のことどう思った？

私はね最初はただ顔がいいだけで

口は悪いし強引だし素直じゃないし

本当に嫌なやつって思ってたんだ

でもね、それはただの強がりで不器用なだけだったの

本当はすごく優しくて温かい人

ずっと私の味方でいてくれた人

唯一私を信じてくれた人

今日だってね、ここに来ようって言い出したの廉なんだよ

こんなに大切にしたいって思ったの初めてなんだ

廉とならどんな事でも乗り越えられる気がする

だから、ずっと見守っててね

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