はんぶんこ (ページ28)

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廉「なんでいるんですか…」

その人を見る廉の目は

いつもの廉と少し違って見えた

「父親の私がわざわざ見に来てやったのになんだその態度は」

その人は冷たく廉にそう言った

えっ、この人が廉の父親なの？

なんで今さら廉のところに…

父「相変わらず私の嫌いな目をするな、お前は」

廉「そんなことわざわざ言いに来たんですか…」

父「お前に忠告しに来たんだよ。変な問題起こして私の顔に泥を塗るような真似をされては困るからな」

なにそれ…

それが実の息子に言うことなの？

父「昔からお前は出来損ないだったからな。ちゃんと言っておかないと分からないだろ」

なんでそんな事言うの？

違う、廉は出来損ないなんかじゃない

「そんなことない…」

気づいたら声が出ていた

「廉は出来損ないなんかじゃないっ…今、言ったこと撤回してください」

父「何を言っているんだ君は」

「もうこれ以上廉のこと悪く言うのやめてください。廉に謝ってください」

許せなかった

何も分かってないくせに

何も知らないくせに

決めつけて傷つけて

父「君は廉のことが好きなのか？」

「好きです…」

そうだ、私がこんなに必死になってるのは

廉が好きだから

ただそれだけなんだ

父「そうか…まぁ、こいつは顔だけはいいからな」

「顔じゃない…」

私が廉を好きになったのは顔なんかじゃない

この顔だったから好きになったんじゃない

廉だから、永瀬廉だから好きになったんだ

「廉は口は悪いし強引だし素直じゃない、でも、本当は優しくて温かくてちゃんと人の気持ちに寄り添える人で…」

本当の廉を知れば知るほど目が離せなくなった

「顔がいいから好きになったんじゃない。本当の廉を知ったから好きになった」

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