はんぶんこ (ページ16)

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廉side

"白石A"

2年になって隣の席になった

正直、名前も顔も知らんかった

でも話してみたら

意外とおもろいやつやった

ある日Aがクラスのやつらから責められてて

自分のことやないのにすごい腹立って

こんなことに首つっこむタイプやないのに

気づいたら庇うようなこと言うてた

自分の足でちゃんと立って生きてる

そんなあいつを馬鹿にするやつらが

どうしても許せへんかった

それからなんやかんやで一緒に住み始めて

しょっちゅう言い合いしてるけど

そんな時間も悪くないなんて

らしくないことを思うようになった

廉「あいつどこ行った？」

リビングに行くとAの姿がなかった

今日はバイト休みって言うてたけど

すると玄関が開く音が聞こえて

「ただいま～、疲れた…」

と言いながらAが入ってきた

廉「どこ行ってたん？」

そう聞くとAはニヤニヤしながら

「じゃーん！」と袋から何かを取り出した

「いつもよりいいお米買ったの！」

と嬉しそうに言ってくる

「ゲームは高いしサッカーはわかんないから、白米ならって思って」

廉「俺のため？」

「うん。お礼するって言ったじゃん…まぁ、こんなことしか出来ないけど」

廉「そのためにスーパーまで買いに行ったん？」

「だからそうだって言ってるじゃん！嫌なら食べなくてもいいけど」

俺の聞き方が悪かったせいで

Aは少し機嫌を悪くしてキッチンに行ってしまった

自分のために何かしてもらうなんて

今までなかったから

さっきのも口先だけやと思ってた

びっくりしたのと素直やないこの性格で

あんな言い方になった

廉「A、ごめん…」

キッチンまで行って謝るとAが驚いた顔でこっちを見た

廉「俺、自分のために何かされたことなかったから…ほんまなんかな？って思ってあんな言い方してもうた」

「廉…」

廉「ちゃんと食べるから」

それだけ言って

また自分部屋に戻った

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