アンブレラ (ページ10)

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紫「ねぇ！ブランコ乗ろうよ！」

そう言って子供のように楽しむ紫耀くん

「すげー！楽しい！」なんて言って

無邪気すぎて同い年だよね？って疑うくらい

紫耀くんの隣の空いてるブランコに座ってゆっくり漕ぐ

紫「はぁー、疲れたー」

「そんな漕いだら疲れるよ」

疲れたみたいで紫耀くんもゆっくり漕いでる

紫「俺さ、好きな人いるんだ」

さっきまであんなに無邪気に笑ってたのに

急に真面目な顔してそんなこと言うから焦った

「そうなんだ…」

そう言うのが精一杯だった

紫「誰にも言ったことないんだよね」

「じゃあなんで私に？」

紫「うーん、なんかAちゃんならいいかなって」

「そっか…」

それってちょっと信用されてるってことなのかな？

「でもね、私紫耀くんの好きな人なんとなくわかるよ」

紫「えっ…」

紫耀くんの目が大きく開かれる

「保健室の先生？」

こんなこと聞いたら傷つくって分かってる

だけどそうじゃなかったらいいなって

そう思ってる自分がまだ少しいるんだ

紫「うん…なんで分かったの？」

ほら、やっぱり傷つくだけだ

「前に私が怪我した時、先生が帰ってきて、そうしたらね、紫耀くんの表情が変わったの」

紫「俺そんなに分かりやすかった？」

「うん…」

きっと紫耀くんのことを好きじゃない人は気づかなかったと思う

でも私はきっとあの時から紫耀くんのことが好きだったから

好きな人の表情なんて誰もがすぐ分かる

紫「そっか…バレてたか」

「先生と話してる時すごく幸せそうな顔するんだもん」

紫「うわ、まじか…」

そんな紫耀くんの横顔は少し赤くて

頬が緩んでた

「頑張ってね。応援してるから」

紫「反対しないの？教師と生徒なのに…」

「立場とかそういうの関係ないんじゃないのかな…大切なのは気持ちだと思うから」

そう言うと紫耀くんが嬉しそうに微笑んだ

あぁ、やっぱりこの人が大好きだ

紫「ありがとう、Aちゃん。Aちゃんが友達で本当によかった」

「うん。私にとっても紫耀くんは大切な友達だから、ずっと笑ってて欲しいな…」

綺麗な笑顔でそんなこと言われたら

本当は好きだなんて言えない…

友達か…

自分で決めたことなのに

なんでこんなに傷ついてるんだろ