アンブレラ (ページ7)

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「失礼しました」

先生に頼まれてプリントを職員室まで持っていった帰り

保健室の前を通ると

先「こんなに保健室来てたら卒業出来なくなるよ」

紫「ギリギリ卒業出来るくらいは授業出てるから大丈夫」

中からそんな話し声が聞こえてきた

また保健室来てるんだ…

しかも卒業出来るかギリギリって

紫耀くんの先生への想いって

こんなにも大きかったんだ

紫「あれ？Aちゃん？」

「えっ…」

そんなこと考えて立ってたら

いつの間にか紫耀くんが目の前にいた

紫「なにしてるの？こんなとこで」

「えっと、先生に頼まれてプリント職員室まで持っていった帰り」

紫「そっか。大丈夫？なんかすごい深刻そうな顔してたけど」

「大丈夫！心配してくれてありがとね。じゃあ、またね」

そう言って紫耀くんから逃げるように教室に戻った

嫌な態度取っちゃったな…

紫耀くんが先生のこと好きなのが

痛いほど分かって

でも私はそんな紫耀くんが好きで

どうすればいいんだろ…

紫耀くんには幸せになって欲しい

ずっとあの素敵な笑顔でいて欲しい

海「A大丈夫？」

海人が心配して声をかけてきてくれた

「海人、私決めた」

海「何を？」

「私ね紫耀くんに幸せになって欲しいんだ」

海「うん。それは俺もだよ」

「だからね、自分の気持ちより紫耀くんの気持ち優先したい」

海「えっ、でも、それじゃAが…」

「うん。分かってる。だけどねあの笑顔を壊したくないって思っちゃった」

海人が泣きそうな顔で見つめてくる

海「A、頑張ったね」

まさかそんなこと言ってくれると思わなくて

もっと"頑張れ"とか"諦めるな"とか言われると思ってた

「海人…」

「よしよし」って頭を撫でてくれる

その手が声がすごく温かくて

自然と涙が溢れた