アンブレラ (ページ6)

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好きな人には他に好きな人がいる

よくドラマとか漫画であるけど

まさか自分がその立場になるなんて思ってもなかった

海「Aは紫耀のどこが好きなの？」

「えっ、なにいきなり…」

海人と帰っていると急にそんなことを聞かれた

海「いいじゃん！教えてよ！それにAから好きになるって珍しいなって思って」

確かに私から好きになるなんて今までなかったかも

相手が好きになってくれてそこから好きになることはあったけど

「優しくて柔らかくてちょっと抜けてて、でもどこか消えてしまいそうっていうか、急にどこかにいなくなっちゃいそうなとこ」

海「そっか。でもなんか分かるな～」

「そういうとこもあって目が離せなくなって気づいたら好きになってた」

紫耀くんは人を惹きつける不思議な魅力がある

目を離したらどこかいっちゃうんじゃないか

消えてしまいそうな儚さを持ってる

海「俺もたまに思うよ。俺が気づかないうちに知らないとこ行っちゃうんじゃないかって」

仲のいい海人もそんなこと思ってたんだ

海「それが紫耀の魅力なんだろうけど。俺にもそんな魅力があったらな～」

「海人には無さそうだね」

海「そこはあるって言ってよ！」

海人とはこうやって冗談が言いあえるから

一緒にいて楽なんだ

「じゃあもう私の話は終わり！海人の話もたまには聞かせてよ」

海「俺の話？」

「うん！海人は好きな人いないの？」

そう聞くと海人は少し困ったような顔して

海「いるよ」

そう答えた

「えっ！いるの？」

海「うん」

まさかいると思ってなかったか

「どんな子？」

海「うーん、びっくりするくらい鈍感」

「そうなんだ…でも海人なら大丈夫だよ！なんだかんだいい奴だし！応援する！」

そう言うと海人は一瞬泣きそうな顔をした

でもすぐいつもの笑顔に戻って

海「ありがとうA。俺もAの恋応援してるから」

「うん。ありがとう」

ねぇ、海人

この時本当はどんな気持ちだったの？

私のために無理して笑ってくれてたの？