アンブレラ (ページ28)

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「海人、大学のこともう1回話したい」

放課後になって帰る準備をしてた海人にそう言った

海「分かった」

海「うわー、屋上なんて久しぶりに来た」

いつもの笑顔でそんなこと言ってる

「ねぇ、なんで急に違う大学行くとか言い出したの？」

海「ふふっ、早速本題だね」

「ヘラヘラしてないでちゃんと答えてよ」

私は真面目に話してるのに…

海「A離れしないとなって思ったんだ」

「どういうこと？」

私離れって何それ…

海「俺Aのことが好き」

「えっ…」

海人の言葉に固まってしまった

海「ごめんね。言うつもりなかったんだけどね」

私が泣いちゃいけないのに

どんどん涙が溢れてくる

海「ごめん…泣かせて困らせて」

「ううん。海人は何も悪くない…」

謝るのは私の方だ

私の何気ない言葉で

きっとたくさん傷つけた

「ごめんっ…海人」

泣きながら謝る私に海人は「大丈夫、大丈夫」

と言いながら私の頭を撫でた

「たくさん傷つけちゃったよね、たくさん泣かせちゃったよね」

海「ううん。Aは何も悪くないから…自分を責めないで」

こんな時でも私に優しい言葉をかけてくれる

そんな海人の温かさに涙が止まらなかった

海「A？ひとつだけ俺のお願い聞いて欲しい」

「なに？」

海「10秒だけ抱きしめさせて」

そう言って海人は私を抱きしめた

海「大丈夫だよ。Aの恋は絶対上手くいくから」

海人は抱きしめたまま耳元でそう言った

海「ありがとう。俺のお願い聞いてくれて」

10秒経って海人は私から離れた

泣きたいのは海人の方なのに

私が泣いてるから

無理して笑顔でいてくれてる

「ありがとう海人。好きになってくれて」

海「ううん。俺もAのこと好きになってよかった」

その時屋上のドアが開いた

「えっ…」

そこにいたのは紫耀くんだった