アンブレラ (ページ2)

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平野くんに傘返したいんだけど

隣のクラスにいって平野くん呼ぶなんて

そんな勇気私にはなかった

もういっその事海人に頼もうかな…

でもちゃんとお礼しなきゃいけないし

そんなことを考えながら授業でバスケしてたら

「痛っ…」

案の定怪我してしまった

みんなに「大丈夫？」って心配されたけど

「たぶんただの突き指だから大丈夫。保健室行ってくるね」

そう言って1人で保健室に向かう

「失礼します…」

保健室に入ったけど先生はいなくて

先生が来るまで待っていようと思ってたら

紫「どうしたの？」

「平野くん…」

ベッドで休んでた平野くんに声をかけられた

カーテン閉まってたから気づかなかった

「体育でバスケしてたら突き指しちゃって」

紫「そうなんだ…うわっ、痛そ」

ちょっと腫れてる指を見て分かりやすく顔を歪ませる

紫「はい、じゃあ座って」

「えっ？」

紫「たぶん先生しばらく戻ってこないから代わりに俺が手当てしてあげる」

「でも…」

紫「いいから。ほら、手貸して？」

大人しく手を出すと手際よくテーピングしてくれて

ゴツゴツしてるけどすごく温かくて優しい平野くんの手が

私の手に触れる度に少しドキドキしてる自分がいた

「ありがとう」

紫「どういたしまして。早く治るといいね」

優しく微笑む平野くん

また鼓動が早くなる

「昨日はありがとう。傘貸してくれて本当に助かった」

紫「ううん。Aちゃんが困ってそうだったから」

「なんで私の名前知ってるの？」

紫「海人がよくAちゃんの話してるから」

「そっか。あっ、体調悪いの？もしかして昨日の雨のせい？」

保健室にいるってことはどこか悪いんだよね

紫「全然元気だよ！ここにいるのはただサボりたかっただけ」

「平野くんってサボったりするんだ」

サボったりする感じの人に見えないのに

紫「へへっ、そうだ。紫耀でいいよ」

「いやでも…」

紫「俺もAちゃんって呼んでるんだから！ねっ？」

「分かった…じゃあ紫耀くんって呼ぶね」

紫耀くんと話してる時間はすごく楽しくて

あっという間で

もっと話したい

もっと紫耀くんのことが知りたい

そう思うことに自分の気持ちに気づくことに

時間はかからなかった