オレンジの世界。

寒い日 ページ27

遅いなぁ…

今日は遅くなるから、と連絡が来たけど

もうすぐ日付が変わる頃

日付が変わるまでのときは

絶対連絡くれるのに

撮影押しちゃって休憩も貰えてないのかな

暖かい部屋の中でうつらうつら

スマホを隣に置いて

テレビはついてるけど眠さもあって

内容が入ってこない

「ただいま」

…！

「お帰りなさい！」

玄関まで早足で歩くと

姿を見て安心する

「あれ、まだ寝てなかったの？」

「だって…連絡なかったし。

待ってたらこんな時間になっちゃった」

近づくとわたが震えているのが分かる

「寒かったでしょ？リビングあったかいよ」

「…うん、あったかそう」

そう言うと、手の甲で

ほっぺた触ってくる

わ、冷た…

「あれ、赤くなった」

わたの手は冷たいのに

頬はより熱を持つ

そんな私にふ、と微笑むと

「ねぇ、A

俺もあったまりたいな」

「リビング…」

「そうじゃなくて。Aがあっためて？」

えっ、

無茶ぶりされる

体温…恥ずかしいけどぎゅうっと抱きつく

「ど、どう？」

「ダメ(笑)寒い」

私は熱いくらいなのに

ドキドキする心臓を押さえて

「ちょっとかがんで？」

ん？て余裕な顔して覗くから

抵抗して

首に腕回して

背伸びして

唇に触れる

至近距離で目が合うと

慌てて視線外す

「んっ、え…」

たちまち上から強引に押し付けられる

はぁ…と息が漏れると

「ふは、真っ赤(笑)」

もー、と睨みつけると

可愛く舌がぺろりとチラ見する

全く悪びれる様子もない

「わたしばっか熱い…」

好きになってからこんな調子で

ずっと彼にはかなわない

相変わらず反応する頬っぺたを

悔しくて手で押さえた

「…そんなことないよ？」

「へ？」

気づいたら

私よりも速く鳴る心臓が聞こえる

「あ…」

「ね？」

でも私よりわたの方が余裕あるのは確かで

やっぱり悔しい

「…A、寒いからお風呂入るよ」

「…えっ？！」

また笑われた…

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