オレンジの世界。

ノート貸して ページ21

※高校生設定です、登場人物設定にて名字の登録をお願いします。

「(人2)さん、ノート貸して！」

…横尾くん。

「…い、いいよ」


テスト期間が近くなると

いつも困り眉で顔の前で手を合わせて

おねだりしてくる。

「ありがとっ！」

ノートを渡すといつものようににっと笑って

仲良しの藤ヶ谷くんの元に戻る。

…変じゃなかったかな、

あれは入学したてのグループ活動の時。

偶然に横尾くんと同じグループになって

理科室で中間テストまで勉強することになった。

『なにそれ、わた(笑)』

2人でたわいもない話で盛り上がってる。

大口開けてキャハハッと少し高めの

笑い声で。

ある日、藤ヶ谷くんがお休みの時は

少し寂しそうにすごく真剣な顔して

2人分のノート、まだ幼さが残った字で

書き写してた。

次の日、ノート見た藤ヶ谷くんが

嬉しそうな顔して

『わた、字きったねぇ〜(笑)』

って茶化してそれを横尾くんが

「なんだよ、せっかく書いてやったのに(笑)」

って分かりきった顔して笑った。

「でも確かにきったねぇな(笑)」

するとふと横尾くんが私の広げられたノート見て

「(人2)さんと全然違ぇわ」

って。そこからいつも貸してって強請ってくる。

いつの間にか

無邪気に笑う横尾くんが

友達想いな横尾くんが

真面目な横尾くんが

好きになってた。

授業中はいつも周りの男子たちたと話す

横尾くんの声とノートを書くのに精一杯で

小テストとかより倍の時間かけて一文字書いて

授業の最後には汚くないかな、見やすいかなって

確かめるの。

あとで消せる色のボールペンは必須アイテム

………

『A、良かったね！』

「…う、うん」

横尾くんとまた同じグループだ。

どうしよう、本人目の前にいるなんて…

綺麗にノート取れるかな。

頑張って丁寧に書くけど

やっぱりいつものようにはいかない。

納得いかなくて

次の授業ギリギリまで書き直したりしてたら

「(人2)さん、時間かけてるね」

って。

あれ？？藤ヶ谷くんは…？

「…あ、あの藤ヶ谷くんは？」

「ん？あぁ、先行ったよ。」

「…な、なんで？」

「…俺が、(人2)さん待ってるから」

…へ？

「鍵」

「…あっ、ご、ごめん！！休み時間短くしちゃったよね！ごめんね！！」

横尾くんが理科室の鍵、返す係なんだ。

休み時間短くしちゃった…

「…いいよ？次、昼休みだし。待ってる

いつも(人2)さんのノートにはお世話になってるから」

気づけば理科室には2人きり。

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