【gnsn】公女様！ (ページ2)

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「公女様。こちら報告書になります。」

「ありがとうございます。雷蛍術士の方。」

所作な動作で報告書を渡してくる雷蛍術士に会釈をし、報告書に目を通す。

「完璧です。お疲れ様でした。」

一通り見終えた私はそう告げると、深々とお辞儀をする雷蛍術士にいつものように諭す。

「同じ階級なのですから、そんなに畏まらなくて良いんですよ。」

私と目の前の雷蛍術士の階級は同じ。だから上も下もないのだが。

「いえ、公女様は本来ならば執行官になられていたお方。私達と同じなど絶対に有り得ません。」

「本来なら…そうですね。公子と争いたくはなかったですから。それに、私には上官なんて向いてないと思うので。」

私が執行官にならなかった最大の理由はこれだ。

上官なんて私には絶対向いていない。

言われた仕事をこなしていく行く方が私は好きだから。

「公子様と公女様はそのお名前からも伝わってくる程、愛し合っていらっしゃいますからね。」

「う、」

ドストレートに言われて、思わず赤面する。

そう、＂公子＂と＂公女＂。

その名前からも察せるかと思うが、＂公女＂こと私、Aと＂公子＂タルタリヤは付き合っている。

ファデュイ内では知らない者はいないだろう。

しかし中には悪い噂も流れているのを知っている。

時折耳にする、『公女様は公子様のモラ目当て』『公子様は執行官になる為に邪魔な公女様を籠絡した』上げたらキリが無いほどの噂が。

私だってモラには困っていないし、そもそもタルタリヤなんて籠絡なんて遠回りな事しないで闘いを挑んで来そうなものなのに。

よくよく考えれば分かることなのにな、と心の内で思いながら、雷蛍術士に再度労いの言葉をかけた。

「今回の件は本当にお疲れ様でした。暫く休暇が与えられるそうなので、体をゆっくり休めてください。」

「有難いお言葉、感謝致します。」

そう言って去っていく雷蛍術士を見送った後、ふと思った。

最近、タルタリヤに会えてないな…。