マレウスSIDE ページ33
・・・
炎の子よ。
僕の隣で羽根を休めないか?
僕と踊るのは、それが終わってからでよいのだ。
『うん・・・それはいいんだけれども))
「リリア。そこをどけ」
「本当に良いのじゃな? ゴースト達に休息を与えても」
「好きにしろ」
チッペンデールの椅子に腰掛ける。
隣にAを座らせて。
『ドレス、着替えてこようか』
「よいと言っているではないか。そこで黙って"月の光"でも聞いていろ」
目の前の鍵盤に触れる。
年季が入ったグランドピアノだが、音色がしっかりしている。
『よかった 調律しておいて』
「そんなことまでできるのか」
『機械いじりの延長でできるようになった』
機械に長けているのはシュラウドの血筋だろう。
従兄妹だと言っていた。
毎年プロムの日には踊っている、とも。
・・・・・・・・・。
「生涯の夫を選ぶ基準として子女たちは、高身長・高収入・高学歴を挙げていた。僕はその全てに当てはまると思うんだが))
『アハハ 高身長・高年齢・高慢な態度の間違い』
・・・・・・なるほどAの目には、僕がそう映っていたのか・・・。
音色に感情を乗せてしまい、自分らしくない弱々しいメロディーが聞こえてくる・・・。
『少なくとも、私の理想だと そうなっちゃうかな〜』
Aは右手で高音域の鍵盤を弾き始めた。
それを見て、僕は右手を外し左手だけで演奏を続ける。
僕だけでは奏でることができない不思議な音色だった。
「これマレウス。夜も更けてきた。そろそろ離してやらんか」
『そうだダンス! ショッキングピンクのドレス!』
「色素が薄いAには、濃い色のドレスがお似合いじゃろう。生地には妖精の羽根が織られておる」
『え"』
「ハハハッ 無理矢理取ってきたわけではあるまいて。ほれ、監督生が待っとるぞ」
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作者名:スカフィロ | 作成日時:2021年1月7日 17時