レオナSIDE ページ28
・・・
即席のオーケストラらしいが、それなりに いい音が出てる。
ゴーストも役に立つもんだ。
あのツノ野郎も弦楽器は一通りできるらしいし
ヒトは見た目じゃねぇってことだな。
「どれ。指揮はわしが執ってやろう。レオナよ、何かリクエストはござらんか?」
「・・・"美しく青きドナウ"」
「いい選曲じゃ。ゴースト達! もうチューニングは済んだかのー?」
後ろ髪を縛って・・・と。
俺もゆっくり着替えるとするか。
・・・・・・・・・・・やっぱやめた。
こうもウダウダしてられねぇ。
俺はすぐに自分の服を魔法で変えた。
談話室を出て、階段傍に手を伸ばす。
なんでって・・・エスコートするために決まってんだろ。
『足音聞こえたかー・・・脅かそうと思ったのに』
透き通った音楽と共に月色のドレスを着こなしたAが降りてくる。
もちろん、俺の手を取って。
「俺の耳を誤魔化そうなんざ、100年早ぇ」
『お見逸れしましたレオナ先輩』
少し顔を動かしただけで揺れるイヤリング。
小さなダイヤモンドがあしらわれたネックレスは、綺麗な鎖骨の邪魔にならないほど輝いている。
Aラインドレスはシンプルなデザインを選んだんだ。
・・・着飾るのは、お前らしくないだろ?
「俺と踊ってくれるか」
『もちろん!』
冒頭のスローテンポが終わった頃だった。
談話室の真ん中で白い手首にプロムコサージュをつけ
薬指に口付けたのは。
『この曲 好き』
「知ってる」
だから選んだんだ。
お前のその笑顔が見たくて。
月の瞳を独り占めしたくて。
「・・・ブートニア。ちゃんと用意してるのは知らなかった」
『エッヘン この一週間、監督生とプロムについて勉強したんだ!』
「そうかいそうかい」
身体を引き寄せる。
相変わらず細ぇ身体だが、
今にも折れそうってわけじゃない。
基本ステップにもアドリブにもついてくるんだ。
お前は最高のパートナーだと誇りに思ってもいい。
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作者名:スカフィロ | 作成日時:2021年1月7日 17時